「任意整理したいけど、30万かかるって本当?」
「任意整理費用を払えない時はどうすればいい?」
これから任意整理をしたいと考えている人にとって、費用が大きな壁となっている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、任意整理にかかる費用の相場や任意整理の費用が払えない場合の対処法について詳しく解説。
さらには、任意整理の費用を抑えるコツや任意整理の依頼先を選ぶポイントについても紹介します。
「任意整理で借金の返済負担を軽くしたいけど、費用を考えると踏み出せない。」
とお悩みの人はぜひ参考にしてみてください。
任意整理にかかる費用相場

弁護士・司法書士事務所にもよりますが、任意整理の費用には細分化された内訳があります。
それぞれの項目で一般的な相場はどれくらいなのか以下で確認してみましょう。
種類ごとの相場
相談料 | 0〜1万円 |
着手金 | 2〜4万円/債権者1社あたり |
基本報酬 | 2万円〜/債権者1社あたり |
過払い金返還成功報酬 | 回収できた金額の10~25%前後 |
実費 | 5千円〜 |
相談料
任意整理を弁護士に依頼するときには、いきなり任意整理の手続を依頼するのではなく、まずは法律相談を受けなければなりません。
その際の法律相談料は、だいたいどこの事務所でも30分5,000円ほどです。
ただ現在は、多くの弁護士事務所が、任意整理などの借金問題については相談無料もしくは初回相談無料としています。
着手金
法律相談後、弁護士に任意整理手続きを依頼する際には着手金を支払います。
着手金は、債務整理するための初期費用のようなもので、委任契約を結んだ後に支払うことがほとんどです。
着手金の一般的な相場は債権者1社あたり2〜4万円。
着手金については途中で委任契約を解約した場合や、思うような成果を得られなかった場合でも、基本的に返金されることはありません。
基本(成功)報酬
基本(成功)報酬とは、和解成立した場合に、その解決内容に応じてかかる報酬金のことです。
基本報酬の相場は債権者1社当たり2万~5万円に設定されているケースが多いようです。
着手金と基本報酬を合わせると約4万円〜9万円と、10万円以内に収まるのが一般的です。
中には着手金無料や極端に安い金額に設定しているところもありますが、その分基本報酬を高めに設定している事務所もあります。
そのため、必ず依頼前にトータルでかかる費用を確認するようにしましょう。
過払い金返還成功報酬
過払い金返還成功報酬とは、貸金業社より過払い金の返還が成功したときに支払われる報酬のことです。
任意整理を行う場合は、過払い金が発生していれば払い過ぎた利息を元金返済に充当し、それでも余った利息があれば「過払い金」として手元に戻ってくる仕組みです。
過払い金返還成功報酬の相場は、回収できた金額の10~25%前後です。
例えば、20万円の過払い金を回収できたのであれば、2万円〜5万円を過払い金返還成功報酬として支払うことになります。
実費
弁護士事務所によっては実費を請求されることもあります。
実費の具体的な内容は以下のとおりです。
・債権者とのやり取りにかかる郵便切手代
・電話代などの通信費用
・印紙代
・交通費
任意整理での実費の費用は5,000円程度ですが、まれに数万円の請求があったというケースも。
実費の請求がある場合には、内訳を必ず確認するようにしましょう。
1社あたりの相場
債権者1社あたりにかかる任意整理の費用相場は、5~15万前後です。
任意整理は、弁護士・司法書士が債権者それぞれと交渉して、利息の減額などに応じてもらう手続きのため、債権者の数が増えるとそれだけ費用も増えます。
一方で、債権者の数が多くなるほど1社たりの単価を安くしてくれる事務所もあります。
依頼する事務所によって価格設定が大きく変わるため、事前にトータルでいくらかかるのか複数の事務所で見積もりを出してもらうことをおすすめします。
その他の相場
債務整理には、任意整理のほかに個人再生・自己破産があります。
それぞれの費用相場は以下のとおりです。
個人再生 | 着手金:30万円程度 基本報酬:20万円~30万円 (住宅ローン特則を利用する場合は高くなる傾向があります) |
自己破産 | 着手金:30〜60万円 基本報酬:0〜30万円 |
個人再生や自己破産についても、事務所によって料金体系はさまざまです。
着手金・基本報酬金を分けずに一括して弁護士費用としている事務所もあれば、着手金・報酬金を分けて設定している事務所もあります。
依頼前に、その事務所の料金体系を確認することをおすすめします。
任意整理の費用(30万円)が払えない場合の対処法

先述のとおり、任意整理の相場は1社あたり5万円〜のため、1社や2社を対象とした任意整理であれば安くて10万円ほどで依頼することができます。
しかし、債権者が6社以上となると最低でも30万円の弁護士費用が発生するため、
「高額すぎて支払えない。」と悩む人も少なくないでしょう。
以下で、費用が払えない場合の対処法4つを紹介します。
司法書士に相談する
弁護士に依頼するよりも、司法書士に依頼した方が費用をおさえられます。
これは、司法書士は、着手金・成功報酬問わず、1件につき50,000円までと上限が決められている一方で、日本弁護士連合会では、着手金や成功報酬について、特に上限は設定されていないためです。
また、弁護士と司法書士では扱える仕事の範囲が異なる点も理由のひとつです。
法律に関する業務のすべてを行うことができる弁護士に比べて、司法書士の場合は、定められた分野のみが業務範囲になります。
例えば、任意整理の場合、1社からの借り入れ額が140万円を超えている場合には司法書士には依頼できません。
そのため、扱える業務の範囲が広い弁護士への依頼は高額で、対応業務に制限のある司法書士への依頼は比較的低額になる傾向にあります。
任意整理費用をできるだけ安く済ませたいのなら、弁護士ではなく司法書士に依頼するのがおすすめです。
支払い方法について相談する
任意整理費用を支払えるか不安な場合は、法律相談の時点で弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
中には、「費用について相談したら嫌な顔をされそう・・・。」と不安に感じる人もいるでしょう。
そもそも、債務整理は「借金苦の債務者を救済すること」が目的の制度です。
相談者の多くが生活に困窮している状態であり、30万円以上の費用を用意するのは簡単ではないことは弁護士や司法書士も十分理解しています。
事前に、費用の支払いについて不安があることをはっきり伝えることによって、弁護士・司法書士より何らかの解決策を提示してくれるはずです。
任意整理を希望する債務者のために、次の2つのサポート体制を整えてくれているのが一般的です。
・相談料、着手金無料
・分割払い・支払い期限の一定期間猶予
相談料・着手金が無料で、初期費用ゼロで任意整理を受任してくれる法律事務所は意外と多くあります。
公式ホームページで確認できるため、相談料・着手金無料をアピールしている法律事務所を選びましょう。
また、毎月どれくらいであれば支払いができるのか、弁護士・司法書士に伝えることによって、分割払いや一定期間支払いを待ってくれたりと最大限の配慮をしてくれる可能性もあります。
このように、任意整理については費用について柔軟に対応してくれる事務所がほとんどです。
費用が払えないからといって任意整理を諦めるのではなく、一度法律事務所に相談してみましょう。
催促を止める
任意整理では、弁護士や司法書士が受任通知を発送することで、借金の催促(電話や郵便)・返済を止めることができます。
そして、債権者と交渉が成立次第、新たな返済金額を返済していくことになります。
つまり、弁護士・司法書士に任意整理を依頼した時点から交渉が成立するまでの間は返済がゼロになる期間があるわけです。
この返済が止まっている期間に、任意整理に必要な費用が貯められます。
通常、依頼してから和解成立まで3〜4ヶ月時間を要するため、仮に毎月7万円の返済をしていた人は21万円〜28万円を弁護士費用として貯めることが可能になります。
法律事務所に任意整理を依頼する人は、借金の返済がストップしている期間にお金を貯めて、弁護士費用に充てる人が多いようです。
自分で手続きする
任意整理は、弁護士・司法書士に依頼せずに自分で行うことも可能です。
自分で手続きをするため、当然費用はかかりません。
ただし、取引履歴の取り寄せや交渉などを自分でしなければならないため、思うような結果が得られず、結局弁護士や司法書士に依頼したというケースも多くあります。
法律に詳しくない債務者が自分で任意整理の交渉をしようとしても、相手にしてくれない可能性もあるため、あまり現実的ではないでしょう。
任意整理の費用を抑えるコツ

少しでも任意整理の費用を抑えたい人は、次に紹介する3つの方法をおすすめします。
相見積もりをとる
事務所ごとに手続きにかかる設定金額はさまざまなため、出来るだけ多くの弁護士事務所や司法書士事務所から相見積もりを取るようにしましょう。
任意整理に限らず、大きな費用がかかる場合は、相見積もりを取ることが費用をおさえることに直結します。
最低3か所ほどから見積もりを出してもらい、比較することで費用をおさえられる可能性があります。
ただし、相談料・着手金無料としていても、基本報酬が高額だったりする事務所もあるため、必ずトータルの金額を確認するようにしましょう。
司法書士に相談する
任意整理は、弁護士に依頼するよりも、司法書士に依頼した方が費用をおさえられます。
先述のとおり、司法書士は、着手金・成功報酬問わず、1件につき50,000円までと上限が決められている一方で、日本弁護士連合会では、着手金や成功報酬について、特に上限は設定されていないためです。
また、弁護士と司法書士とでは弁護士と司法書士とではできることに大きな違いがあることも理由のひとつ。
司法書士との契約後に「この業務はできません。」と断られてしまう可能性もあるため、費用面だけでなく、できることとできないことについてもしっかりと確認しておくようにしましょう。
法テラスを利用する
弁護士・司法書士ではなく、法テラスを利用することで費用負担をおさえられる可能性があります。
法テラスとは、国が設立した法的トラブルを解決するための総合案内機関で、法律に関する情報提供の他に、弁護士や地方自治体の相談窓口の紹介も行っています。
法テラスでは、支援制度のひとつとして費用の立替えを行っています。
任意整理にかかる費用を、法テラスが利用者に代わって支払いを立て替えてくれるうえ、法テラスへの費用は毎月5,000円~1万円ずつの分割払いで返済ができます。
ただし、「勝訴の見込みがあること」「民事法律扶助の趣旨に適すること」「収入が一定額以下であること」の3つの条件が必須のため注意が必要です。
任意整理の依頼先を選ぶポイント

ここでは、任意整理で失敗しないための専門家の選び方について解説します。
任意整理の依頼先を選ぶポイント5項目について、ひとつずつ見ていきましょう。
実績が豊富か
任意整理の実績が豊富かどうかを確認することは最も重要です。
確認方法は以下のとおりです。
・法律事務所の公式ホームページで得意分野として任意整理(債務整理)をあげている
・ネット上の口コミを検索
弁護士・司法書士には専門業務や得意・不得意があるため、任意整理と無縁な法律事務所に依頼するとスムーズに手続きを進められず、思った成果も得られない可能性が高くなります。
依頼する前に必ず「任意整理の実績」がどの程度あるのかを確認するようにしましょう。
処分歴がないか
弁護士・司法書士に依頼する前に、過去の処分歴の有無を確認するようにしましょう。
処分歴のない専門家に依頼をした方が任意整理手続きはスムーズに進むでしょう。
処分歴とは、弁護士の場合は、弁護士法や日弁連の会則に違反したり、「弁護士としての品位を失うべき非行」があったりすることで、業務停止・退会命令・除名の懲戒処分が下されることです。
弁護士が懲戒処分を受けた場合、団体機関紙への掲載・官報での公告で周知されるほか、「弁護士懲戒処分検索センター」で検索することも可能です。
また、司法書士の処分については、司法書士会のホームページから会員情報を検索すれば懲戒処分履歴についてチェックできます。
費用が明確か
契約前に明確な費用を提示してくれる弁護士・司法書士を選びましょう。
依頼者にとって、専門用語が並んだ料金表だけ見せられても理解するのは難しいはずです。
あとから追加で高額請求されたなどのトラブルを避けるためにも、曖昧な金額を提示していたり、よくわからない用語で説明された費用については納得するまで説明してもらうようにしましょう。
弁護士・司法書士によって、費用の内訳を丁寧に説明してくれれば安心感もあり、その後の信頼感も生まれます。
信頼できる人か
借金問題などのお金について専門家に相談する場合には、信頼できる人柄かどうかを重視しましょう。
たとえば、高圧的な態度ではないか、依頼者側の話をよく聞いてくれるのか、不安を伝えられるのかなど、債務者が不安なくコミュニケーションを取れるかどうかは、その後の任意整理の成果にもつながってきます。
相性もありますので、相談の時点で「話しにくいな」「任せて大丈夫かな?」と感じた場合は担当者を変更してもらうなどの対応をしてもらいましょう。
自宅から近いか
自宅から通える範囲に法律事務所があるかも重要なポイントです。
なぜなら、面談や契約時など、法律事務所まで直接訪問する機会も多くなるためです。
法律事務所によっては、オンライン面談やメール、電話で対応してくれることもありますが、任意整理の数ヶ月の間に何らかのトラブルで訪問せざるを得ない状況となる可能性も考えられます。
自宅から手軽に訪問できる距離にあれば、気兼ねなく法律事務所に足を運べるでしょう。
よって、法律事務所を選ぶときには、対応エリアや全国に支店があるかなどを確認することをおすすめします。
まとめ
任意整理費用がいくら必要かは債務者の状況によって大きく異なります。
「1交渉につき5〜15万円」が相場と言われていますが、多重債務であれば30万円以上必要になります。
「30万円も支払えない。」と悩んでいる人も、法律事務所によっては分割払いや、一定期間支払いを猶予してくれるなど、さまざまな対応をしてくれます。
一度弁護士・司法書士事務所が開催している無料相談に足を運んでみることをおすすめします。