こんにちは!弁護士の南です!
今回は、債務整理したせいで銀行口座が凍結されるケースについて解説します。
皆さんは口座凍結について知っていますか?
口座凍結とは、給与の引き出しや公共料金の引き落としなど、口座を使った取引ができなくなることなのです。
しかし、実は借金の債務整理を始めると、状況によっては銀行口座が凍結されてしまうケースがあるんです。
普段使っている口座であれば、当然生活費を下ろすことも一切できなくなります。
一度凍結されてしまうと、解除されるまでにかかる期間は、実に3カ月と言われています。
3カ月も口座が使えないとなると生活が成り立たなくなってしまいますから、こんな事態は絶対に避けたいですよね?
そこで今回は、債務整理でどんなことをすると口座が凍結されてしまうのか?口座が凍結されたらどうなるのか?
そして口座凍結される前にすべき対処法を、現役弁護士の視点から解説しようと思います。
「債務整理はしたいけど、なんとしてでも口座凍結は避けたい!」「万が一口座凍結されてしまった場合の対処法を知りたい!」
そんな方には1番貴重な記事になっているので、ぜひ最後までご覧ください。
それではいきましょう!
債務整理で口座凍結されるケース

それではまずは、どういった状況で債務整理を行うと銀行口座が凍結されるのかについてご説明します。
それはズバリ、債務整理の対象に銀行のカードローンがあるケースです。
具体例を挙げましょうか。
たとえば、Aさんという方が、B銀行の預金口座に20万円の預金があり、その一方で同じB銀行に50万円分のカードローンがあるとします。
このときにAさんが借金の返済に行き詰まり、債務整理を行うことにしました。
するとAさんの弁護士・司法書士がB銀行に対して「これから債務整理を始めるので、カードローンの返済をストップします」と伝えるわけです。これは正当な手続きですよね。
ただ、これに対してB銀行は「カードローンの返済をしてくれないなら、20万円分の預金を返済に充てさせてもらいます」
というわけです。これを「相殺」と言います。
AさんはB銀行に返済の義務があるわけですから、B銀行の対応も当然です。
そしてB銀行は相殺の準備をするにあたって、口座を凍結させるというわけです。
口座が凍結されると、預金の20万円はカードローンの返済に充てられカードローンの借金は50万円から30万円になり、その代わり預金口座はゼロになります。
これが、債務整理を行って銀行口座が凍結されるケースです。
債務整理の対象に銀行のカードローンがあると、口座は凍結されてしまうのです。
口座が凍結されるタイミングは、弁護士や司法書士が送付した「受任通知」を銀行が受け取ったときです。
受任通知は債務整理の開始を債権者に予告するものなので、預金を相殺されたくないなら債務整理の開始前に凍結に対して準備をしておく必要があります。
自己破産と個人再生を選んだ場合

ちなみに債務整理には大きく分けて自己破産・個人再生・任意整理の3つがあるのですが
銀行カードローンを債務整理するにあたってどの手続きを取るかで口座が凍結されるかどうかが変わります。
ですのでここからは、債務整理ごとに口座が凍結されるかどうか解説します。まずは自己破産と個人再生を選んだ場合からです。
自己破産と個人再生の場合、債務の整理先を自由に選ぶことができません。そのため、強制的に全ての債務が整理対象となります。
なので、債務の中にもしも銀行のカードローンが含まれていれば、整理されることとなりますから、結果として当該銀行の口座は凍結されることになります。
たとえば整理対象に三菱UFJ銀行のカードローンが含まれていたら、三菱UFJ銀行の口座はほぼ確実に凍結されると言って間違いないでしょう。
複数の支店に口座がある場合、全ての口座が凍結されることになるので、必ず全ての口座を専門家に伝えて事前対策をしないといけません。
任意整理を選んだ場合

一方、任意整理だけは債務の整理先を自由に選ぶことができるので、任意整理をした場合、口座が凍結されるケースと凍結されないケースがあります。
ではここから、任意整理をした場合に口座が凍結されるケースとされないケースで何が異なるのかを解説します。
銀行カードローンを任意整理すると凍結される
任意整理をした場合に口座が凍結されるケースの1つめは、銀行カードローンを任意整理の対象にした場合です。
ご想像の通り、最も凍結される可能性が高いのがこれです。これはわかりやすいですよね。
消費者金融の借金だけを任意整理しても凍結される
任意整理をした場合に口座が凍結されるケースの2つめは、銀行カードローンと同じグループ系列の消費者金融どちらにも借金があるときに、消費者金融の借金だけを任意整理の対象にした場合です。
少し分かりにくいので具体例をお話します。
消費者金融の中には、次のように銀行の傘下に入っている消費者金融が存在します。これを銀行系消費者金融と言います。
こちらの表をご覧ください。
会社名 | 所属銀行グループ |
アコム | 三菱UFJフィナンシャル・グループ |
プロミス | SMBCグループ |
SMBCモビット | |
レイク | SBI新生銀行グループ |
こちらは、消費者金融とその所属銀行グループを表したものです。
アコムの所属銀行グループは三菱UFJフィナンシャルグループで、プロミスとSMBCモビットの所属銀行グループはSMBCグループ。
レイクの所属銀行グループはSBI新生銀行グループとなっています。
このとき、たとえばアコムと三菱UFJ銀行のカードローンから借金をしていて、アコムだけを任意整理した場合でも三菱UFJ銀行の口座が凍結される可能性があります。
なぜなら、銀行カードローンは系列の消費者金融を保証会社としていることが多いからですね。
なお、アコムから借金はしているが、三菱UFJ銀行のカードローンからは借金をしていない場合、アコムの任意整理を行っても銀行口座は凍結されません。
任意整理しても口座凍結されないケース

逆に任意整理をしても口座が凍結されないケースですが、基本的には、任意整理と無関係な銀行口座は凍結されません。
ですので、そもそもカードローンを利用していない銀行口座はもちろんのこと、
借入はあっても任意整理の対象ではない銀行口座は凍結されることはないので安心してくださいね。
口座凍結されるとどうなるのか?

では、続いて多くの方が気になるであろう、口座凍結されるとどうなるのかについても解説します。
口座が凍結されるとこのような事態が引き起こされます。
- 口座凍結は3カ月程度続く
- 預金は借金と相殺される
- お金の引き出し、引き落とし、振り込みができなくなる
- 口座が強制解約される可能性もある
それぞれ簡単にご説明します。
口座凍結は3ヶ月程度続く
まず、1つめの「口座凍結は3カ月程度続く」ですが、口座の凍結期間は一般的に3カ月程度とされています。
凍結が開始されるのは、任意整理の開始を知らせる「受任通知」を銀行が受け取ってからです。
それにしても3カ月とは、かなりの長期間ですよね。
しかも、場合によっては3ヶ月以上使えなくなるケースがあるので、注意しましょう。
預金は借金と相殺される
続いて、2つめの「預金は借金と相殺される」ですが、先ほども述べた通り、銀行が口座を凍結する目的は債権の回収です。
そのため、口座凍結されるとその時点で預金は強制的に全額借金の返済に充てられます。
ですので、預金額分借金が減額される分、残高はゼロになります。
お金の引き出し、引き落とし、振込ができなくなる
次に、3つめの「お金の引き出し、引き落とし、振り込みができなくなる」ですが、口座が凍結されると銀行口座からの引き出しや引き落としができないだけでなく、他の口座から振り込むこともできなくなります。
つまり、銀行口座の手続きは全てできなくなるということです。
日々の生活を送るうえで、ここが一番支障をきたす部分と言えます。
口座が強制解約される可能性もある
そして最後の「口座が強制解約される可能性もある」ですが、銀行によっては「返済が不可能となった場合、銀行口座は強制的に解約する」と契約で取り決めているケースがあります。
その場合、銀行口座が凍結されたまま、強制的に解約となります。
このように銀行口座の手続きが一切できない状態が3カ月程度続く、恐ろしい口座凍結。
万が一、口座が凍結されてしまったら生活が成り立たなくなる恐れがあります。
では実際に口座が凍結されたらどうすればいいのか?
そこで、ここから口座が凍結される前にしておきたい対策について解説をします。
これからお話することに沿ってしっかり対策すれば、万が一凍結されてもお金を守ることができるので、ぜひ最後までご覧ください!
口座凍結される前にすべき対策

それでは口座凍結前にしておくべき対策をお話します。
対策は全部で3つあるのですが、その前に重要なことを申し上げます。これから紹介する対策は、いずれも“必ず”債務整理をする前に行ってください。
債務整理を専門家に依頼すると、すぐに受任通知が銀行に送付されます。
銀行は受任通知を受け取った時点で口座を凍結しますから、債務整理をしてから対策を取る、では遅いんです。
ですので、これからお話する対策は必ず、債務整理を正式に依頼する前に行うようにしてください!
残高を全額引き出しておく
それではまず口座凍結の対策その1は、残高を全額引き出しておくことです。これは必ず行いましょう。
口座が凍結されると、口座の残高は借金の相殺に回されて没収されるわけですから、債務整理をする前に残高は全額引き出しておく必要があります。
このとき、注意点として、借金返済に使っている口座だけでなく、その銀行で使用している口座が他にもあれば、支店・口座の種類を問わず、全て引き出すようにしておいてください。
なぜなら、すべての口座が凍結されるからです。
引き出したお金は手元に置いておくか、債務整理の対象とならない銀行に預けておきましょう。
給与振込口座を変更するか現金払いにする
対策その2は、給与の振込口座を変更する、もしくは現金払いにすることです。
口座が凍結されると給与などの振り込みができなくなるわけですから、間違って振り込みがされてしまった場合、わざわざ銀行に返金依頼をしなければなりません。
その際、窓口に直接赴く必要があり、非常に手間がかかります。
そのため、給与の振り込みは凍結されない別の銀行の口座に変更するかもしくは現金払いにしてもらうようにしましょう。
そのほか、口座に振り込まれる予定のお金があれば、相手に相談して振込先の口座を変えてもらうようにしてください。
年金の場合は、近くの年金事務所や年金相談センターに行って「変更届」を提出すれば手続きが可能です。
公共料金の引き落としを別口座に変更する
対策その3は、公共料金等の引き落としを別口座に変更することです。
口座が凍結されると、振り込みに加えて引き落としもできなくなります。
そのため、公共料金や携帯電話料金などを口座引き落としに設定している場合は事前に引き落とし先を凍結されない口座に変更するか、コンビニ払いなどに変更するようにしておきましょう。
ここまで、口座凍結される前の対処法を解説してきました。ここで、こんな疑問を思い浮かべた方もいらっしゃるかもしれません。
「給与の振込口座は変更できたとして、凍結口座に不意に入金があったときはどうすればいいんだろう?」
口座凍結後に入金があった際の対処法

そこで、最後に口座凍結された後に入金があった際の対処法について、詳しく解説いたします。
口座凍結中でも、銀行が受任通知を受け取った後の入金については、基本的に窓口に行けば引き出すことができます。
これは給与の振り込みも不意の入金も同じです。
一般的に印鑑・通帳・本人確認書類を持参して返金依頼をすれば口座凍結中でも引き出しが可能です。
とはいえ、入金があるたびに毎回これをやるのはかなりの手間なので、早い段階で入金を別の銀行口座にお願いするよう依頼しておくべきでしょう。
なお、なかには凍結中の口座から引き出しをする際は、債務整理を受任している弁護士や破産管財人などと一度話をしてから、という銀行もあります。
そうなると引き出しに時間がかかり、すぐにお金を受け取ることはできなくなりますので要注意ですね。
あまりないとは思いますが、もしも窓口で「預金を引き出したい」と伝えても、行員が対応してくれないようなら、依頼した専門家に相談してみてください。
まとめ
改めてですが、銀行口座が凍結されると引き出し・引き落とし・振り込み、という全ての手続きができなくなり、極めて不便です。
ですので、債務整理をする前には今回お話した対策を必ず行いましょう。
借金の返済にお悩みの方は、口座凍結のことまでなかなか考えが及ばないことが多いのですが、何の対策もせずに口座が凍結されると、日常生活を送る難易度が急激に高くなります。
せっかく債務整理で生活を立て直そうとしていたのに、預金が一気に無くなったら元も子も無いですよね?
そうならないように、口座凍結への対策を押さえたうえで債務整理を依頼するのがおすすめです。
もし今回の記事をみて「債務整理する際の注意点は分かったから具体的に債務整理を検討したい」という方がいらっしゃいましたら。
こちらの公式LINEからお問い合わせいただければ、実績豊富な専門家が皆さんの生活の立て直しを全力でサポートしてくれます。
もちろんLINE登録は無料ですし、相談も何度でも無料です。全国どこからでも受け付けていますので、1人で悩むのは今日で終わりにしてください。
後で忘れてしまう前に、ぜひ今のうちに登録してくださいね。