「弁護士に任意整理の依頼をしていたけど、辞任の通知が来てしまった・・。」
この記事を読んでいる方は、任意整理を依頼していた弁護士から任意整理の手続きを断られてしまい、今後どうすればいいのだろうかとお悩みの方ではないでしょうか。
実際に、弁護士が手続きの段階で辞任するケースは多く、全体の4割は依頼人である債務者に対して辞任通知が送られています。
弁護士が辞任することによって、任意整理の手続きに遅れが発生し、完済までの道のりが遠のいてしまいます。
また、辞任されたことによってストップしていた債権者からの返済督促が再び始まってしまい、焦っている債務者も多いのではないでしょうか。
この記事では、以下の4項目について解説していきます。
- 任意整理を辞任される理由
- 任意整理を辞任された場合はどうなる?
- 任意整理を辞任された場合の対処法
- 任意整理を辞任されないように気をつけよう!
新たに依頼した弁護士に同じ理由で辞任されることのないように、辞任の理由が何だったのかを明確にしましょう。
任意整理を辞任される理由

一般的に、依頼を受けた弁護士は、簡単には辞任することはありません。
依頼者に何か問題があったからといってすぐに辞任するというわけではなく、債務者にとっての最善の方法を提案してくれたりとむしろ協力的です。
しかし、それでもどうにもならない場合は辞任されてしまいます。
弁護士が辞任してしまうケースとしては、主に以下の2つが多いようです。
任意整理の費用を滞納した
まず1つめは、任意整理の費用を滞納したケースです。
任意整理を依頼する際には、着手金を収める必要がある弁護士事務所も少なくありません。
着手金の支払いがないままに数ヶ月過ぎると、弁護士側も任意整理の手続きを進めることができないと判断し辞任へとつながります。
また、弁護士費用を一括で支払うことが厳しい人は分割払いを選択しているでしょう。
その場合、弁護士も債務整理をする依頼者にお金がないことは承知のうえなので、返済が可能な範囲での金額を設定してくれえるはずです。
しかし、分割払いについても着手金同様、2〜3ヶ月ヶ月以上の滞納が続き、連絡も取れない状態であれば弁護士側からの辞任は免れないでしょう。
もし、病気やケガなどやむを得ない事情が起こって費用を払えなくなった場合は、必ず弁護士に事情を説明し、その後の対応について相談することが大切です。
弁護士もボランティアで活動しているわけではないので、支払いがストップしてしまうと手続きを進めることはできません。
任意整理をスムーズに進めていくためにもしっかりと返済計画を立て、くれぐれも弁護士費用を滞納しないように注意しましょう。
不誠実な対応
任意整理を進めるうえで、依頼者と弁護士の信頼関係はとても重要です。
依頼者の不誠実な対応をによって、やむを得ず辞任する弁護士もすくなくありません。
以下は辞任に至りやすい具体的な対応の例です。
- 弁護士からの電話に出ないし折り返しの電話もしない
- 突然連絡が途絶える
- 面談をすっぽかす
- 嘘をつく
- お願いしていた必要書類をいつまで経っても準備しない
こういった依頼者の不誠実な対応があまりにも酷いと、弁護士は対処しきれないとして辞任するケースも。
もし、不誠実な態度を取ってしまったなら、謝罪し、誠実な対応を取るように心がけましょう。
任意整理を辞任された場合はどうなる?

では、任意整理手続き中に弁護士が辞任してしまった場合、依頼者にはどのような影響があるのでしょうか?
以下で、弁護士が辞任したことによって発生する一連の流れを解説していきます。
辞任通知が送付される
そもそも辞任通知とは、簡単に言うと依頼人との契約を解消し、今後は手続きをしないという内容が記載された書面のこと。
任意整理を依頼した弁護士が辞任する場合、弁護士は依頼人と債権者に辞任通知を送付します。
しかし、法律事務所によっては辞任通知自体を送付しないケースもあるため、突然債権者から返済の取り立ての電話や郵便物がきて、弁護士が辞任したことが発覚することもあります。
弁護士事務所から届く郵便物や電話連絡については、無視せずに必ずチェックすることが重要です。
督促が再開される
辞任通知が債権者に届くことによって、これまでストップしていた取り立てや督促が再開されます。
弁護士の辞任により、任意整理が中止になった時点で、債権者は支払いを止める義務がなくなり再度督促が始まるのです。
これまでは、弁護士が依頼人の代理人となり債権者からの連絡や交渉の窓口となっていましたが、辞任後は弁護士がいなくなるため、債権者からの連絡は直接債務者に来るようになるのです。
止まっていた債権者からの督促が始まることによって、精神的な負担もかなり大きくなるでしょう。
このように、再び借金返済の督促が来るようになって初めて弁護士が辞任したことを後悔する依頼人もいます。
このような事態を避けるためにも、常日頃から弁護士とは密な連絡を取り合い、必要最低限のマナーを守って対応することを心がけましょう。
一括請求される
任意整理和解後の返済中に滞納した場合、督促を受けても2ヶ月以上支払えない場合は、一括請求されてしまう可能性が非常に高くなります。
これは、期限の利益の喪失によるもので、2ヶ月以上の滞納によって、借金を分割で支払える権利を喪失することになります。
よって、借金額が10万円であろうと1,000万円だろうと、債権者から一括請求されればこれを拒否する権限はないため、必ず応じなければなりません。
更には、依頼後に返済をストップしていた期間を含めた遅延損害金や高額な利息を一緒に請求される恐れも。
そもそも、毎月の返済が苦しくて任意整理を依頼した人にとって、一括返済はかなりハードルが高く現実的ではありません。
これらのことから、債務者にとって弁護士に依頼するメリットは非常に大きいため、弁護士に辞任されることのないように誠実な対応をするように努めましょう。
差し押さえられる
一括返済を無視していると最終的に、裁判所を通して家や車、給与や預金口座といった財産が差押えとなります。
差押えとなると、「家族に借金を隠していた」という人でも全てバレてしまいます。
また、給料が差押えになることによって会社にも通知されるため、借金をしていることを知られたくない人は何としても避けたいものです。
このように、差押えまで発展すると、借金や滞納が家族や会社にばれてしまうのも時間の問題でしょう。
先述した通り、そもそも任意整理するほど返済に困っている人が、一括請求されたからといって簡単に全額返済することは不可能なです。
よって、差押えまで進むケースは決して珍しくありません。
ここまで状況が進んでしまうと、弁護士もできることが限られてくるため、遅くとも一括請求の段階で次の手を考えることが必要です。
任意整理を辞任された場合の対処法

新しい弁護士を探す
先述した通り、再び返済が滞ると一括請求や差し押さえに発展するため、早急に新たな弁護士を探す必要があります。
一般的に、任意整理は裁判所を通さずに当事者間で交渉するため、債務整理の中では比較的簡単だと言われています。
しかし、専門家でない人にとっては法的な専門用語が理解できなかったり、そもそも債権者との交渉において相手にされないなどもの問題も十分予想されるため、弁護士に再度、和解を依頼した方がリスクが低くなります。
新たに弁護士を探すうえで重要な3つのポイントは以下の通りです。
- 別の弁護士に辞任された理由や経緯などを隠さず話す
- 弁護士費用について相談する
- 前任の弁護士から必要書類を返却してもらう
まず、以前別の弁護士に辞任されてしまったことを包み隠さず話すようにしましょう。
隠していいても、手続きを進める中でバレてしまい、嘘をついていたり隠していたことによって、弁護士との信頼関係が崩れてしまうきっかけになります。
言いにくいことは特に最初の段階で全て弁護士に伝えておきましょう。
また、依頼の前に弁護士費用について分割支払いが可能か確認することも重要です。
きちんと返済計画を立て、くれぐれも支払いが滞納しないようにしましょう。
任意整理を辞任されないように気をつけよう!

弁護士との連絡は綿密に!
任意整理を進めるうえで、依頼人と弁護士のコミュニケーションは必要不可欠です。
弁護士から電話連絡があったり、面会のアポイントがあった場合は必ず応じるようにしましょう。
スケージュールの都合が合わない場合は積極的に別日を提案するなど、当事者として協力的な姿勢で対応することが大切です。
決して電話を無視したり、面会日当日にキャンセルやすっぽかすということはあってはなりません。
信頼関係が一気に崩れてしまい、最悪の場合任意整理の辞任につながってしまいます。
また、スムーズに手続きを進めるためにも、弁護士から依頼された必要書類の提出については、可能な限り迅速に用意するようにしましょう。
依頼された時点で、いつまでに提出できるのか具体的な期日を伝えることが理想的です。
お互いの信頼関係を損なわないためにも緊密にコミュニケーションを取ることが大切です。
まとめ
もし任意整理の途中で弁護士に辞任された場合は、なぜ辞任されてしまったのか理由を突き止めて繰り返さないことが最も大切です。
辞任された後に悩んでいるうちに「差し押さえになってしまった…」ということがないように次の対策を立てることが重要です。
辞任後は早い段階で新たな弁護士を探すようにし、借金問題の早期解決に努めましょう。