こんにちは!弁護士の幸谷です!
今回は「自己破産しても生活変わりません」というちょっと意外なお話をしていきます。
突然ですが、自己破産すると「その後の人生はどうなるの?」「普通の生活を取り戻すことはできるの?」と不安に思いますよね?
自己破産した後の生活が気になって、破産手続きに一歩踏み出せないという方もいると思います。でも、安心してください!
結論をお話すると自己破産したとしても、生活が大きく変わることはないですし、過酷な生活が待っているわけでもありません。
むしろ破産後の生活の方が快適に生活できているという方もいるくらいです。
「そんなわけある?」と思うかもしれませんが、この記事を最後まで見ていただければその理由が分かります。
というわけで、今回は、現役弁護士の私が自己破産した後にどんな生活が待っているのかを詳しく解説します。
それではいきましょう!
自己破産後の生活に影響があること

ではまず、「自己破産後の生活に影響があること」から見ていきましょう。
「自己破産後の生活に影響があること」は主に次の4つです。
- 財産を処分しなければならない
- ブラックリストに載る
- 資格や職業に制限がかかる
- 官報に掲載される
それではひとつずつ解説していきます。
財産を処分しなればならない
自己破産後の生活に影響があることの1つめは、「財産を処分しなければならない」ことです。
自己破産とは、財産をお金に換えて債権者に配当し、配当しても残ってしまった借金を免除してもらうという手続きを言うので、財産の処分は当然ですよね。
とは言え、破産者が所有するあらゆる財産を処分しなければいけないというわけではありません。
実は、99万円以下の現金や財産的価値が一定額(一般的には20万円)以下の物品は自由財産として手元に残しておけるのです。
やはり破産者といえども生活がありますからね。
また、持ち家は基本的に手放すこととなりますが、査定額の低い車であれば手元に残せる可能性が高いですよ。
ブラックリストに載る
自己破産後の生活に影響があることの2つめは、「ブラックリストに載る」ことです。
あなたの金融取引情報を登録・保管する「信用情報機関」に“自己破産した”というネガティブ情報が登録されてしまうわけです。
ブラックリストに載ると、自己破産後の約10年間は後ほど解説する3つの制限を受けることとなります。
おそらく多くの方にとって、ブラックリストに載ることが自己破産の最大のデメリットであると言えるでしょう。
ただ、そこまで大げさに考えることでもなかったりします。詳しくは後ほど解説しますね。
資格や職業に制限がかかる
自己破産後の生活に影響があることの3つめは、「資格や職業に制限がかかる」ことです。
自己破産をすると、一定の資格や職業に制限がかかるようになります。
具体的に言うと、弁護士や司法書士、公認会計士や税理士といった「士業」の資格は停止。
他にも次の職業に就くことができなくなります。
- 保険外交員
- 警備業
- 貸金業
- 旅行業
- 古物商
と言ったものの、実はこれらの資格や職業が制限されるのは、自己破産の手続き中だけなんです。
そのため免責が許可決定がされた時点でこの制限は解除されるので、厳密に言うと自己破産後の生活に影響は全くなかったりします。
官報に掲載される
自己破産後の生活に影響があることの4つめは、「官報に掲載される」ことです。
自己破産をすると、官報という政府発行の新聞のようなものに氏名や住所が掲載されることになります。
そのため、職業的に官報を見る機会のある金融業や不動産業、役所や公的な機関に勤務している人々にはあなたの個人情報が知られる恐れがあります。
その一方で、一般の方が官報を見ることはほぼありません。
したがって、“官報に掲載されたから知人に自己破産がバレた”というケースはまず起こらないのでご安心ください。
ここまで自己破産後の生活に影響があることを解説してきましたが、ここまでご覧になった皆さんならブラックリストに載ること以外はほぼノーダメージであるということに気づいたのではないでしょうか。
自己破産後の実際の生活

それでは続いて、「自己破産後の実際の生活はどんな感じか?」について解説します。
「自己破産後の実際の生活」でお伝えしたいのはこの5つです。
- 新たな財産を持つことは自由
- 破産しても処分されない財産も多い
- 仕事は普通にできる
- 破産をしたことを他人に知られることはほぼない
- 選挙権には影響ない
それではひとつずつ解説していきます。
新たな財産を持つことは自由
1つめは「新たな財産を持つのは自由」だということです。
自己破産をする際にご自身の財産を処分することとなりますが、破産後に新たな財産を築くのは完全に自由です。
自己破産をしたときに借金の返済義務は免責されているので、新たに築いた財産を借金の返済に充てる必要もありません。
なので、自己破産をした後に事業で成功して大富豪になったという方も決して珍しくありません。
破産しても処分されない財産も多い
2つめは「破産しても処分されない財産も多い」ということです。
先ほど、自己破産をしても99万円以下の現金や財産的価値が一定額(一般的には20万円)以下の物品は自由財産として手元に残しておけるとお伝えしましたが、他にも多くの財産が手元に残ります。
生活に必要な家財道具も手元に残りますし、高額な家具・家電であっても減価償却により財産的価値がゼロと判断されれば処分されないケースも。
つまり、生活するのに困らない程度の財産は手元に残るということです。
仕事は普通にできる
3つめは、「仕事は普通にできる」ということです。
破産手続き中も自己破産後も、仕事は自由に行えます。自己破産は本来、債務者の経済的更生を図るためのもの。
仕事は経済的更生を図る上で必須のものですから、むしろ今まで以上に積極的に仕事に打ち込んでほしいですね。
破産したことを他人に知られることはほぼない
4つめは、「破産したことを他人に知られることはほぼない」ということです。
先ほども申し上げた通り、自己破産の事実は官報に掲載されるだけであって、それ以外で公表されることはありません。
戸籍や住民票などの公的書類に記載されることもないのでご安心ください。
市区町村役場には「破産者名簿」というものがありますが、これも一般人は見ることができませんし、免責を受けた人はそもそも「破産者名簿」には掲載されません。
よって、自己破産の事実は自分から言わない限り、他人に知られることはほぼないと言えます。これなら安心ですね。
選挙権に影響はない
5つめは、「選挙権に影響はない」ということです。
自己破産をしたから選挙権を失う、といったことは一切ありません。
被選挙権にも影響はないので、自己破産後に公職に立候補することも可能です。
ここまで自己破産後の実際の生活についてお伝えしてきました。
こうしてみると、自己破産後の生活が自己破産前の生活とそれほど大きく変わらないということがわかりますよね。
自己破産するとできなくなること

では次に、「自己破産するとできなくなること」について解説します。
「ブラックリストに載るとできなくなること」と言い換えてもいいでしょう。
ここでは、自己破産最大のデメリットである「ブラックリスト入り」を果たすと日常生活にどのような制限がかかるのかを見ていきます。
ブラックリスト入りで制限がかかるのは、主に次の3つです。
- 新たな借入やローン
- クレジットカードの作成・利用
- 携帯電話端末の分割払い
それではひとつずつ解説していきますね。
新たな借入やローン
自己破産するとできなくなること1つめは、新たな借入やローンです。
無理な借り入れをした結果、自己破産をしたわけですからこれは考えれば当然のことですよね。
不便を感じるのはローンを利用することができないということでしょうか。
ローンを組めないので、住宅や車は一括購入せざるを得ず、そうなると必然的に購入すること自体が難しくなります。
また、教育ローンが組めないので、お子さんの進学、ひいては将来に大きな影響を及ぼす恐れがあるでしょう。
お子さんがいるご家庭は、自己破産をする前にお子さんの進路について家族間でよく話し合うことをお勧めします。
クレジットカードの作成・利用
自己破産するとできなくなること2つめは、クレジットカードの作成・利用です。
これについてはご存知の方も多いかもしれませんね。
クレジットカードの“credit”とは本来、“信用”という意味です。
自己破産をした方は、ブラックリストに載ることでその信用を失った状態なわけですから、クレジットカードが使えないのは当然と言えば当然ですよね。
とはいえ、近年はネットショッピングの隆盛も相まってクレジットカードを利用する必要性が増しています。
その中でクレジットカードが使えないというのは、かなりのダメージではないでしょうか。
しかしご安心ください。打開策はあります。
ブラックリスト入りした方でも、デビットカードなら自由に利用できます。
デビットカードとは、口座にある預金残高から利用代金の即時引き落としがかかるカードのことです。
デビットカードにはクレジットカードのような審査はないので、自己破産した方の多くはデビットカードをメインカードにしていますね。
携帯電話端末の分割払い
自己破産するとできなくなること3つめは、携帯電話端末の分割払いです。
意外と知られていないのですが、端末代金を分割払いすることもローンの一種に該当するんですよ。
なので、自己破産した方が携帯電話端末を新規購入するなら一括購入するしかありません。
とはいえ、安価な端末が市場には数多く出回っているので、故障などでやむを得ず携帯電話端末を購入しなければいけない時もそこまで困ることはないでしょう。
ここまで、ブラックリストに入ると日常生活にどのような制限がかかるのかを見てきました。
ローンが組めなかったり、クレジットカードが使えなかったりと確かに一般の方に比べれば不便ではありますが、まあまあ受け入れられるペナルティではないかと思います。
自己破産したら家族に影響はあるのか

それでは最後に、「自己破産したら家族に影響はあるか」について解説しましょう。
自分が自己破産をすることで、家族にどんな影響が及ぶのかを気にする方は多いと思いますので、この点を明らかにしていきます。
自己破産後の生活で家族に及ぼす影響はこちら。
- 家族には基本的に影響はない
- 世帯主の場合 家族のクレジットカードの審査が厳しくなる恐れがある
それではこちらも1つずつ見ていきましょう。
家族には基本的に影響はない
大前提として、自己破産をしても家族には基本的に影響はありません。
自己破産とは、あくまでも個人の借金を免責してもらうために個人の財産を処分する手続きです。
ですので、自分が自己破産をしたことで家族の財産が処分されたり、家族に返済義務が生まれたりすることはありませんので、ご安心ください。
自己破産したことが他人に知られることはほぼないので、ご自身の自己破産がお子さんの就職や結婚に悪影響を与えるということもないでしょう。
家族のクレジットカード審査が厳しくなる
さて、自己破産による家族への影響があることの2つめです。
あなたが世帯主だった場合、ご家族のクレジットカードの審査が厳しくなる恐れがあります。
主婦や学生のお子さまがクレジットカードの申し込みをすると、世帯主の信用が審査されることとなります。
世帯主が自己破産者であると発覚した場合、ご家族にクレジットカードが発行されないということが起こり得ます。
その際は前述の通り、デビットカードで対応するしかありません。
まとめ
はい、というわけで今回は「自己破産しても生活変わりません」というテーマで解説しました。
自己破産はその言葉の印象からどうしてもよくないイメージを持ってしまいますが、こうやって一つ一つ整理すると意外と実生活には影響が少ないということがわかったのではないでしょうか?
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