高齢者でも債務整理はできる?年齢制限はない?

みなさんは「債務整理には年齢制限がある」と聞いたことはありませんか?

「年齢を重ねてきて、このままだとどうなるのか不安」「万が一の時に、家族に迷惑をかけるのは嫌だ…」

そんなお悩みをお持ちの方もいらっしゃると思います。

実際、借金を抱えたまま高齢になるとどのようなことが起きるのでしょうか?

今回は、借金が高齢者に与える影響と、返済が難しくなった時にどうするべきなのかを解説していきます。

その上で、高齢で債務整理をするときの注意点を説明し、最後に、高齢で債務整理をするメリットをご紹介します。

「借金を抱えたまま、高齢になるのが不安…」「高齢で債務整理をする場合は、どんなことに気を付ければいいのか知りたい」

という方はぜひ最後までご覧ください。

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高齢の状態で借金を抱えるとどうなるのか

60代以降の高齢者になると、収入源が年金だけになるという人が増えます。

定年退職を迎える時期でもあるので、この年代で新たに仕事を探すのも難しくなるうえ、健康や医療費に関する出費が増えていくタイミングでもあります。

最近は支給される年金額も減少傾向にあり、定年後に安定した収入を得られないと60代以降でも借金せざるを得なくなります。

住宅ローン返済が続いている場合、返済が厳しくなると、自宅を手放すことになることもあるかもしれません。

人によっては配偶者が亡くなり、一人暮らしになった途端経済的に苦しくなるということも珍しくありません。というのも2人で暮らしていた夫婦のうちどちらかが亡くなり1人になったとしても支出は半分にはならないからです。

2人夫婦のどちらか亡くなった場合、年金の受給額が半分になりますが、賃貸住宅に住んでいる場合は同じ場所に住み続けるなら家賃は以前と変わらない額を支払わなければなりません。

そして、水道光熱費などは基本料金があるため少ししか安くなりません。

医療費に関していえば負担は逆に重くなることも珍しくないでしょう。これは医療費の自己負担は配偶者が亡くなったあとも変わらず、世帯単位で計算されるからです。

たとえば、70歳未満の夫婦の場合で考えてみましょう。2人が受け取っている年金の合計額が370万円未満の場合、医療費の自己負担分は最高で月5万7600円です。

ところが夫婦のどちらかが亡くなっても、自己負担分の上限額は5万7600円のままです。

もし、残された方の高齢者が高額な医療費が必要な病気にかかっていた場合、収入は減っているのにもかかわらず、医療費の負担は以前と変わらないことになります。

こうして一人暮らしになったことをきっかけとして、経済的困窮状態に陥ってしまうことはよくある話です。

低収入や無職の人は、数万円の借金でも返済できなくなるリスクが高く、すぐに行き詰まる可能性があります。

返済能力が低いため利息の返済ですら追い付かず、雪だるま式に借金額が増えていくことも少なくないでしょう。結果として、返済のために借金を重ねてしまい多重債務者になる例もあります。

また、このような人は家計にゆとりがないため、何かトラブルが起きたり、急にまとまったお金が必要になった場合でも、すぐに家計が破綻してしまうリスクも抱えています。

低収入や無職は、借金問題を悪化させる大きな原因となるため、元々収入が低く、足りない生活費を補うために借金をしているという方は、特に注意が必要です。

借金を残したまま死んでしまったらどうなるのか

もし借金を残したまま死んでしまったら借金の行方はどうなるのでしょうか?

「借金はあくまでも個人に課せられているものだし、債務者が死んだら返済の義務もなくなるんじゃないの?」そうお考えの方もいるかもしれません。

しかし、民法には相続について相続人は被相続人の財産に属した「一切の権利義務」を承継する、という記載があり、

現金、預貯金、自動車、不動産、株といったプラスの財産だけではなく、借金を支払う義務などのマイナスの財産も相続によって受け継がれることが決められています。

つまり、借金を残したまま亡くなると現金や不動産などの財産だけでなく、借金も子供や配偶者などの相続人に相続されてしまいます。

たとえ莫大な金額であっても、相続人は相続放棄の手続きをしない限り借金を全額受け継ぐことになってしまいます。

プラスの財産とマイナスの財産がある場合、これらを合算してプラスの財産だけ相続するという方法もありますが、手続きが煩雑であるため、あまりおすすめできません。

このように高齢での借金は、家族に借金の存在がバレるどころかその責任を家族に丸々押し付けることになるという可能性が高くなってしまいます

高齢者の債務整理における注意点

ここまでの解説を聞いて、高齢で借金を抱えるリスクは十分ご理解いただけたと思います。

「家族に迷惑をかけることになる前に、いまのうちに借金を何とかしたい」と思われた方も多いのではないでしょうか?

借金を何とかしたい、しかし返済ができずにどんどん厳しくなっている、そんな状況に苦しんでいる方々におすすめの方法が債務整理です。

借金などの債務の返済に困った場合に行う債務整理ですが、その方法には次の3つの方法があります。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

任意整理は債権者との個別の交渉を行うもので、年齢制限をする法律上の規定はありません。

個人再生と自己破産もそれぞれ、民事再生法と破産法に基づく手続きですが、これらの法律にも年齢を理由とする手続制限はありません。

したがって高齢を理由として、債務整理の手続きが利用できないというわけではないのです。

では、債務整理によって高齢者はどんな影響を受け、どうすれば債務整理を成功させることができるのでしょうか?

任意整理・個人再生・自己破産の3つの方法に分けて解説していきます。

任意整理・個人再生における注意点

ここからは任意整理・個人再生における注意点を解説していきます。

結論からお伝えすると任意整理・個人再生の利用は、高齢であるがゆえに難しい場合があります。というのもこの2つの手続きは3〜5年に渡って返済を続けていくことが前提の手続きです。

返済のためには継続的な収入が不可欠ですが、定年での退職が近かったり、すでに退職済みだったりすると、支払い能力の低下が見込まれることで利用が認められない可能性があるのです。

今は年金もあって働けていても、3ヶ月後・半年後に病気で収入が途絶えている…というケースも十分想定されます。

債務整理が必要な高齢者の多くが、年金しか収入がない、健康状態に問題があり仕事が見つけられない、といった状況にあるのです。

こうした背景から任意整理においても債権者が債務者の再雇用が切れるまでの期間しか交渉に応じないなどということもが想定されます。

個人再生においても、返済の計画として、どのように返済のための原資を捻出するのかを合理的に説明できなければなりません。

場合によってはこうした事情に加えて健康状態が良好であるようなことまで求められる可能性もあり、ケガや病気を抱えている場合、高齢者が個人再生をするには高いハードルがあるといえます。

しかし、2025年から「定年の延長」が義務化されるなど、少子高齢化や健康寿命の増加に伴って、60代以降の雇用も積極的に進められています。

そのため今後高齢者の働ける場所は増えていくでしょうし、たとえアルバイトであっても収入が安定していれば、任意整理や個人再生も認められる可能性があります。

健康で働く意思があるのなら、債務整理を諦める必要はありません。しかし、債務整理を成功させるには入念な準備が必要になるので、債務整理を検討される方はお早めに専門家に相談することをおすすめします。

「どこにも働けなくなってから任意整理・個人再生を決断したが遅かった」ということがないように気を付けましょう。

ここまでの解説を聞いて「返済できないなら債務整理するべきなのはわかったけど、自分には難しそう…」と思った方もいるかもしれません。

しかし、実は無収入や病気・ケガの状態でも、借金を減額する方法があります

働けなくなった時に借金を減額する方法

高齢により働けなくなったとしても借金を減額できる方法は、たった一つだけです。それは、3つめの債務整理である「自己破産」です。

高齢の影響で健康状態に問題があったり、働くことが難しいと判断されると、任意整理や個人再生は難しくなる一方で、自己破産は認められやすい傾向にあります。

その理由として、まず自己破産には年齢制限がないため高齢を理由に自己破産手続が認められないことはありません

次に自己破産の条件である「借金全額を支払えなくなってしまった(支払不能)」という事実が認めてもらえるかという点ですが、主な収入源の年金は安定しているとはいえその金額は十分とは言えません。

パートやアルバイトでも、十分な収入を手に入れられるとは限らないため高齢者にとっての収入源はかなり限られています。

一方で、高齢によって医療費は増えていく傾向にあるので、家計から借金返済に充てるためのお金を絞り出すことも難しくなっていきます。

こうした背景から高齢者は支払不能と認められやすく、その結果自己破産が認められやすいという傾向にあります。

実際に高齢者の場合、100万円にも届かない借金でも自己破産が認められることがほとんどです。とはいえ、自己破産による様々な不利益や問題は決して軽いものではありません。

任意整理・個人再生が可能な段階で手続きを進めれば、家族にばれるリスクも少なく、財産を残せる可能性も高いです。

自己破産のデメリットに関しては、「自己破産のデメリット実は誤解だらけ」という記事でも紹介しています。興味のある方はぜひご覧ください。

年金はどの債務整理においても回収されない

また自己破産だけでなく任意整理や個人再生の利用によって、年金は回収されないこともメリットです。

これは年金が差し押さえ禁止財産と定められているためですが、これにより自己破産をしても将来の年金が全て債権者の手に渡ってしまうということはないのです。

しかし、差押え禁止財産の対象となるのは債務整理後に受給した年金のみであり、受給済みの年金は預貯金として扱われるため回収対象になることがあります。

自己破産では99万円を超えた部分の現金や、残高が20万円を超える預貯金は処分対象となりますが、自己破産前に受け取った年金がこれらに含まれていると回収されてしまうのです。

年金を回収されないための対策としては年金用口座を作るという方法がありますが、自己破産の際に年金を回収されたくないからといって年金振込口座からお金を引き出すことは控えてください。

「現金の方がたくさんが所有できるなら、預金を引き出して現金を多めにもっといた方がいいでしょ?」と思われた方もいるでしょう。

しかし、自己破産直前に預貯金を引き出すと、自己破産自体ができなくなることがあります。

自己破産直前に預貯金を引き出すと、裁判所から特定の債権者のみに借金を返済しようとしている、もしくは詐欺をはたらいているのではないかと疑われることになるためです。

実際はよほど悪質な行為でない限り自己破産は認められていますが、自分が不利になるようなことは極力避けるべきです。

仮に預貯金を引き出したとしても、弁護士の指示に従って自己破産に伴い必要とされる出費に充てれば問題はないこともあります。

年金をしっかり受給するためにも、落ち着いて弁護士の言うとおりにするといいでしょう。

まとめ

今回は高齢で借金を背負うことになってしまった場合の対処方法、債務整理について解説しました。

高齢で借金を背負ってしまうと自分だけでなく周りにも迷惑をかけてしまうことが十分お分かりいただけたかと思います。

借金を返済していくことが難しいと分かったら早めに対応することを心がけましょう。もし返済できない状況に陥ってしまっても債務整理によって差し押さえを解除することも可能です。

自分の状況に少しでも焦りを感じたら、まずは専門家に相談することから始めましょう。

具体的な債務整理の方法の決定には、本日解説してきたように個々の状況によって取るべき方法が変わるので専門家のサポートとアドバイスが不可欠です。

より具体的な対処法については専門家の力を借りることであなたの借金の負担を軽減してくれる可能性が大いにあります。

1人で悩んでいるよりも借金解決のプロに相談した方が早期解決につながりますし最適な選択ができるはずです。最近は基本的に相談だけなら無料の事務所が多いです。

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