こんにちは!弁護士の幸谷です。
今回は、生活保護と債務整理についてお話ししていきます。
皆さんの中に、借金があるけど、生活保護を受けているから何もできない…
借金で生活が苦しい。生活保護と債務整理と、どっちを選ぶべき?
こんな悩みを抱えている方はいませんか?
経済的に困難な状況にあると、どのような選択肢があるのか、誰でも見えにくくなってしまうものですよね。
しかし、解決策はあります。
今日は、生活保護受給者や生活保護を検討している人が直面する借金問題に対して、債務整理はできるのか?債務整理をした場合にはどんなメリットがあるのか?
そしてそれらがあなたの生活にどのように影響を与えるかについて、詳しく解説します。
最後には、生活保護を受給しているわけではないが、借金問題を抱えていて債務整理と生活保護とどちらから対応すべきか悩んでいる方に対してのアドバイスもお伝えします。
借金に悩んでいる方、または債務整理に興味がある方、生活保護受給中で借金問題に悩んでいる方は、この記事を最後までご覧いただくことで、借金問題に対する一つの解決策を見つける手助けになるはずです!
それではいきましょう!
生活保護者は任意整理できるのか

まず、生活保護受給者は債務整理ができるのか?という疑問にお答えすると、結論、できます。
しかし、事実上自己破産が唯一の選択肢になります。
任意整理や個人再生は、債務は減額されますが、残った分は返済する義務があります。
一方で自己破産は返済の義務が基本的に全て免除になるのです。
生活保護受給者の場合、安定した収入がなく、いくら減額されたとしても借金の返済が困難であることが想定されます。
任意整理も個人再生も、毎月の返済が必要になりますし、生活保護費を借金の返済にあてることはできません。
そこで、支払い能力がないと裁判所に認めてもらい、借金の返済を免除してもらう自己破産が残された選択肢となるのです。
自己破産の申立てをする際、裁判所は申立人の経済状況を収入、資産、生活状況、借金の総額など徹底的に調査します。
生活保護受給者の場合、自己破産条件は基本的にクリアするでしょう。
調査の結果、裁判所が支払い能力なしと判断すれば、借金の返済を免除することができます。
これにより、生活保護受給者は借金の重圧から解放され、新たな人生をスタートさせることができます。
「本当に自己破産できるの?」「生活保護でお金をもらいながら借金も免除できるって、そんなうまい話はあるの?」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。安心してください。
生活保護を受給している状態でも、自己破産の申し立ては可能です。
自己破産は、生活保護受給者にも開かれています。
生活保護受給者でも申し立て可能ですし、自己破産の手続きを終えた後に生活保護を受けることも可能なのです。
生活保護者が自己破産をするメリット

さてここまでで、生活保護受給者が自己破産を選択することができるとご理解いただけたかと思います。
ここからは生活保護受給者が自己破産をするメリットを3つ、紹介していきます。
ほぼ全ての借金が免責される
まず自己破産の最大のメリットは、遅延損害金を含むほぼ全ての借金が免責されることです。
これにより、借金による精神的な圧迫から解放され、経済的な再出発が可能になります。
今までのしかかっていた返済の重圧が全てなくなるなんて、まさに人生のやり直しになると言ってもいいのではないでしょうか。
生活に必要な最低限の財産は残せる
メリット2つ目は、自己破産を行っても、生活に必要な最低限の財産は残すことができることです。
必要最低限の財産には、日常生活に必要な家具や衣類、一定額以下の預貯金、職業を維持するための道具などが含まれます。
この規定により、自己破産後も基本的な生活を維持することが可能です。
戸籍や住民票に記録は残らない
メリット3つ目は、自己破産を行っても、戸籍や住民票にその記録は残らないことです。
記録が残ることを恐れて踏み切れない方も一定数いますので、その心配がいらないというのは大きいのではないでしょうか。
記録に残らないのは、個人のプライバシーを保護し、社会復帰を促進するためです。
ただし、信用情報機関には記録が残り、一定期間、新たな借入れが困難になることがあるのでその点だけは注意が必要です。
ただ、これは自己破産に限ったことではなく、任意整理や個人再生にも言えることですし、一定期間が過ぎると記録はなくなるため、一生残ってしまうわけではありません。
ここまでで、生活保護受給者でも借金問題を解決するために自己破産という手段があること、また自己破産のメリットについてご理解いただけたと思います。
ただし、生活保護受給中の自己破産には、気をつけてほしい注意点もいくつかあります。
それを知らないまま手続きに踏み切ってしまうと、こんなはずではなかった、思った通りに進まなかった、など後悔することになるかもしれませんので必ず押さえてください。
生活保護受給中の自己破産の注意点

生活保護を受給している方が自己破産を考える際、気をつけるべき注意点は4つあります。
生活保護費は借金返済に充てられない
まず1つ目は、生活保護費は借金返済に充てられないということです。
生活保護費は、日常生活を支えるために必要な最低限の費用であり、借金の返済には使用できません。
もし生活保護費を借金返済に充てていることが発覚した場合、不正受給とみなされて給付金の減額や打ち切りに至る可能性があります。
生活保護制度の趣旨に反する行為と見なされるため、非常に注意が必要です。
生活保護の打ち切りを防ぐためには、生活保護の受給中に自己破産を行う場合、ケースワーカーにきちんとその旨を伝えることが重要です。
これにより、生活保護の打ち切りを防ぐとともに、適切なアドバイスを受けることができます。
弁護士費用・裁判所費用がかかる
生活保護受給中に自己破産をする際の注意点2つ目は、弁護士費用、裁判所費用が必要になることです。
自己破産を行うには、裁判所を通す手続きになるため、弁護士などの専門家のサポートが必要になります。
これらの費用は、一般的に数十万円ほどかかるといわれているので、生活保護受給者にとって大きな負担となるでしょう。
生活保護を受給するくらい生活に困っているのに、そんな費用が払えるわけがない!と思ったあなた、最後まで聞いてくださいね。
自己破産を検討したいけど、費用を準備できそうにないという方に向けて、法テラスという機関が用意されています。
法テラスは、法的問題に直面している人々に対して、相談や法的支援を提供する公的機関です。
経済的に余裕のない方に無料で相談を行い、弁護士・司法書士費用の立替をおこなう「民事法律扶助」を提供してくれます。
ただし、法テラスの民事法律扶助を利用するためには、収入の基準など一定の条件を満たす必要があることは、理解しておいてください。
詳細な条件は、法テラスのウェブサイトや相談窓口で確認することができますので、ご自身の状況を整理し利用できるか確認してみてください。
新たな借金をしてしまうと生活保護費が減額される
次に、生活保護受給中に自己破産をする際の注意点3つ目は、新たな借金をしてしまうと生活保護費が減額される可能性があるということです。
新たに借金をすると、その金額が収入と見なされます。
生活保護は最低限の生活を支えるためのものであるという趣旨に反するため、減額の原因となります。
さらに新たな借金をした場合、生活保護費の減額だけでなく、返金を求められることもあるので注意が必要です。
過払金が受け取れない場合もある
最後に、生活保護受給中に自己破産をする際の注意点4つ目は、過払金が受け取れない場合もあるということです。
過払金を受け取る権利があったとしても、それが20万円を超える場合、その金額は破産管財人によって回収され、債権者に分配されます。
これは、破産手続きの一環として、債権者の利益を保護するための措置ですので、過払い金があるからお金が入ってくるだろうと期待していると痛い目に遭うかもしれませんので注意しましょう。
生活保護受給中の自己破産のデメリット

注意点については理解した、それでもやっぱり自己破産をしたい!と思っている方、ちょっと待ってください。
自己破産にはデメリットも存在します。
自己破産は、借金からの解放をもたらす一方で、これらのデメリットは重要な判断材料となりますのでここから丁寧に解説します。
まず、デメリットとしては携帯電話が使えなくなるかもしれないということです。
もし携帯電話の通信料や端末代金の未払い、滞納がある場合、自己破産を行うとこれらの借金も免責の対象となります。
その結果、これらの支払いからは解放されますが、同時にサービスの利用が停止される、またはキャリアとの契約が強制解約される可能性があります。
さらに自己破産をするとブラックリストに載るため、一定期間は新しい端末を分割払いで購入することは不可能になるので注意が必要です。
次のデメリットとしては、財産が回収されることがあります。
これは耳にする人も多いかと思いますが、基本的に生活に必要ではない財産や、一定の価値を持つ財産が含まれ回収の対象となると覚えておきましょう。
具体的には、持ち家や土地などの不動産、自動車、高価なアクセサリー、一定額以上の現金などです。
処分される財産は本人名義のものだけですので、配偶者など他の家族名義のものは処分されません。
誤って家族の財産が引き上げられてしまった場合は、売却されてしまう前にすぐ専門家に相談しましょう。
また自己破産をすると、官報に名前と住所が掲載されます。
官報は公的な記録であり誰でも見ることができます。つまり、自分が自己破産手続きを行ったことが公になってしまうのです。
ただし、一般の方が官報を見ることはほとんどないと言っていいでしょう。
官報を確認するのは特定の職業、例えば弁護士や保険会社、金融機関などその情報が必要な人たちに限られます。
他のデメリットとしては職業制限です。
自己破産を行うと、一部の職業や資格に影響が出ることもあります。
おもに「士業」「不動産業」「警備員」など、社会的信頼が求められる職業・資格です。
一定期間を経過すれば復権できることがほとんどですが一定期間は特定の職業にはつけなくなるので注意が必要です。
さらに自己破産を行うと、保証人や連帯保証人にも影響が及ぶことがあります。
自己破産を行うと、本人の借金は免責されますが、保証人や連帯保証人にはその債務が移行します。
つまり、破産者が支払うべきだった借金を、保証人や連帯保証人が代わりに支払う必要が生じるということです
保証人や連帯保証人は、破産者の借金を肩代わりすることになるため、自身の財政状況に大きな負担がかかり、万が一、保証人や連帯保証人が債務の返済に遅れると、彼らの信用情報が損なわれることがあります。
保証人や連帯保証人は、突然の財政的負担に加え、法的な責任や信用の問題に直面することになり、精神的なストレスを被ることになるので、大切な人たちを守るためにもこれらのデメリットも十分に理解しておくようにしましょう。
生活保護と自己破産どちらを先にすべきか

それでは、生活保護と自己破産、どちらを先にすべきなのでしょうか。
借金に苦しむ方の中には生活保護と自己破産の選択肢が浮かぶけれど、どちらを先にしたらいいのかわからないという悩みを持つ方が少なくありません。
そういう悩みを持つ方にアドバイスをお伝えします。
まずはそれぞれのメリットを解説しましょう。ます、自己破産を先にした場合についてです。
自己破産を先に行うことは、生活保護を受ける前に借金問題を解決できるという大きなメリットがあります。
ケースワーカーさんの中には、生活保護受給の前に、まず借金問題を解決してくださいと促す方もいるようです。
なぜなら借金問題を解決しておくことで、生活保護費を借金返済に充ててしまう心配もなく、生活再建に集中することが可能になるからです。
先ほども説明した通り、生活保護費を返済に充てると減額されたり徴収されたりする事態に陥りかねません。
また、自己破産手続きを開始するとすぐに督促をストップすることができます。
生活保護の受給を開始しても、督促が止まることはありませんが、弁護士や司法書士が自己破産手続きに入りましたよ、という旨の受任通知というものが金融会社に送られると、その時点から督促連絡はストップします。
ただでさえ生活が苦しい中で、連絡が止まるというのはかなり大きなメリットなのではないでしょうか。
次に生活保護を先にした場合のメリットは、そのスピード感です。
特に経済的に困窮していて切羽詰まった状態である場合、自己破産よりも先に生活保護を受けることが望ましいです。
自己破産の手続きは半年から1年程度の時間がかかりますが、生活保護は申請から受給まで最短で14日という短い期間で事を進めることが可能です。
そのため、直ちに経済的な支援が必要な場合は、生活保護を先に受けることが有効です。
さらに自己破産の手続きには費用がかかりますが、生活保護を受けている場合、法テラスを利用することで、これらの費用が免除される可能性があります。
自己破産の費用を用意できない場合、先に生活保護を受けることで、経済的な負担を軽減し、その後の自己破産手続きをスムーズに進めることができます。
まとめ
借金問題はケースバイケースな問題で、一概にこの順番がいい、というわけではないのですが、おすすめとしては、
まず弁護士に相談し、自己破産を依頼する
次に生活保護の受給を申し込む
そして法テラスで破産費用の立替の相談をする
そして破産申請手続きをする
という順で行うことが、各制度のメリットを享受できるのではないかと思います。
ただ、申し上げたとおりケースバイケースなので、まずは専門家に相談してみてください。
一人で悩んでいるよりも借金解決のプロに相談したほうが、早期解決にも繋がりますし、最適な選択ができるはずです!
今は基本的に相談だけなら無料の事務所が多いです。
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