任意整理がきつい場合はどうなる?原因や対処法を詳しく解説!

任意整理の手続きをしたものの、返済がきつい。

任意整理後の借金を完済できる気がしない。

このように、任意整理の手続きを無事に終えても、さまざまな事情で返済が難しくなる債務者も少なくありません。

任意整理の手続きを無事に終えても、それがゴールではなく、債権者との和解案をもとに3年〜5年かけて返済していくことになります。

この記事では、任意整理後の返済が厳しい場合の対処法や返済がきつくなってしまう原因、放置した場合どうなるのかについて詳しく解説していきます。

任意整理をしたものの、返済が苦しいとお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

任意整理がきつくなる原因は?

任意整理後の返済に限らず、借金返済がきつくなる原因は共通しています

そして、借金の返済がきついと感じる背景には、いくつかの要因が考えられます。

これらの要因を見直し、適切な方法で対処していくことが大切です。

以下では、具体的な原因について解説していきます。

自分に当てはまる項目がないかチェックしてみましょう。

借金の返済計画を理解していない

借金を返済するにあたり、まず返済計画を立てることが最も重要です。

返済計画自体を理解していないと、返済計画を立てることは難しく、返済に対する目標設定もできません。

返済計画とは、借金の総額・利息・返済期間から、何年間で毎月いくらずつ返済していけば完済できるのか逆算して計画することです。

借金返済に追われている場合、返済計画を立てていない、あるいは「どこからいくら借りていて金利はそれぞれ幾らなのか」さえも把握できていないという人も多いのではないでしょうか。

借金の全体像を把握していないことにより、「高金利の借金を優先して返済する」といった対処ができず、余計な負担を背負うことになってしまいます。

これらの問題を解決するには、借金の総額・利息・返済期間を明確にすることが大切です。


状況を把握することで、はじめて実情に合った返済計画を立てることが可能となります。

利息の返済に追われている

もし、月々の返済を抑えるために返済期間を長く設定しているのであれば、借金の元金があまり減らない状況になっているはずです。

例えば、100万円を年利15%で借り入れて84回に分割して返済する場合、月々の返済額は約19,000円になりますが、このうち元金への充当は約8,000円で、残りの11,000円は利息に使われることになります。

さらに、リボ払いは月々の返済額を3,000円や5,000円といった少額に設定することで、ほとんどが利息の支払いに回り、元金はほぼ減らないという状況になってしまいます。

このように、毎月の返済額が少ないと、返済額は抑えられる一方で、毎月の返済金がほとんど利息に充てられている状態が続き、結果的に「いつまでも返済が終わらない」という状況を招く可能性があるため注意が必要です。

任意整理後に支出が増えた

任意整理後、支払い利息のカットや返済期間の延長によって毎月の生活費に余裕ができることによって、つい浪費してしまう人も多いのではないでしょうか。

任意整理前までは、返済のために我慢していたレジャーなどの娯楽や食費にお金をどんどん使ってしまい、結果的に返済に充てるお金がなくなってしまう事態はよくあります。

多少食費が増えたり、年に1度旅行に行ったりという分には問題ありませんが、固定費を大幅にあげてしまったり、過度な浪費を重ねることによって、支出はどんどん増えてしまいます。

せっかく任意整理を行ったのに、その後の支出を大幅に増やしてしまっては返済が困難になってしまいます。

返済するお金は確保したうえで、計画的な支出を心がけましょう。

任意整理のきつい返済をそのまま放置するとどうなる?

任意整理後、返済がきついからといって放置するとさまざまなペナルティが発生してしまいます。

以下で、任意整理後の返済を放置した結果、実際に起こってしまう事例を詳しくみていきましょう。

2回滞納で一括請求

任意整理後に2ヶ月続けて返済を滞納すると、残りの借金を一括請求されてしまいます

これは、債権者と和解を行う際に、「2回以上滞納した場合は期限の利益期限の利益を喪失する」と、和解合意書に定められているためです。

一括請求までの流れについては以下の通りです。

一括請求の流れ
  1. 返済を2ヶ月続けて滞納
  2. 債権者から電話や書面で連絡がくる(滞納してから数日〜1週間前後)
  3. 債権者から督促状が届く(滞納してから1週間〜1か月後)
  4. 債権者から催告状が届く(滞納してから約1カ月前後)
  5. 残債務の一括請求を求める書類が届く(滞納してから約2ヶ月〜3ヶ月前後)

上記に加えて、一括請求についても無視すると裁判所から「訴状」や「支払督促」が届くことになり、最悪の場合、財産や給与を差し押さえられる強制執行となる可能性があります。

くれぐれも、債権者からの連絡を無視せず、返済できない事情がある場合は必ず債権者に連絡しましょう。

遅延損害金の発生

任意整理をした後に返済を放置していると、一括請求されるだけではなく遅延損害金まで加算されてしまいます

遅延損害金とは、決められた返済日までに返済しなかったことに対する損害賠償金のようなもの。

滞納した場合の遅延損害金がどれくらいになるかは、任意整理をした際の和解合意書に記載されています。

無駄な費用を支払わなくて済むように、支払い期日までに確実に返済することが大切です。

差し押さえの恐れ

先述したとおり、債権者から一括請求されているにもかかわらず無視していると、最終的に裁判所を通して財産の差し押さえに発展する可能性があります。

差し押さえられる財産とは、銀行預金や給与、不動産などです。

例えば、給与を差し押さえられてしまうと、会社にも迷惑がかかってしまい、借金滞納の事実が会社中に知れ渡る事態は避けられません。

このような最悪の状況を回避するためにも、返済ができないと判断した時点でまず任意整理を依頼した弁護士に相談することをおすすめします。

任意整理がきつい場合の対処法は?

任意整理の返済が厳しい状況にある場合、どのような対処法が有効なのでしょうか。

以下で3つの対処法をご紹介します。

まずは、1つずつ実践してみましょう。

現在の借金と収支を把握する

任意整理後も借金の返済がきついと感じる多くの人は、自分の正確な借金総額を把握できていない傾向にあります。

まずは、任意整理した借金を含め全ての借金の棚卸しが必要です。

まずは以下の項目について正確に把握しておきましょう。

・どこから借りているのか

・それぞれの残高

・毎月の返済日

・毎月の返済額

・(任意整理した借金以外の)借入金利

これらの情報を一覧にまとめることによって、どの借金を優先して返すべきなのかなど客観的に考えることができます。

また、自身の収入や固定費を含めた家計の全体像を確認し、毎月どれだけの額を返済に回すことができるのか把握することも重要です。

生活費や固定費を削減

生活の固定費を削減することは、借金を安定して返済していくうえで最も効率的です。

例えば、家賃や保険料、通信費などは毎月支払う金額が比較的高額なため、1度見直すことで毎月の支出を大幅に削減することができます。

削減した固定費を返済に回すことによって、借金を早く返済できるなどメリットはかなり大きいと言えます。

具体的な固定費削減方法は以下の通りです。

削減項目内容・方法
家賃今よりも安い物件への住替え。
物を処分することによって今より狭い物件でも十分住める可能性も。
保険料生命保険や医療保険などに過剰なオプションを付加していませんか?
特に掛け捨てタイプは最低限のコースで十分な場合も。
通信費家族全員の携帯プランの見直し。
キャリアから格安SIMに変えるだけで毎月数万円節約できる可能性あり。
食費昼食はお弁当持参、ペットボトルは買わずにマイボトルにする。
電気ガス水道大手電力会社から「新電力」と呼ばれる新しい電力会社への乗り換え。

上記の固定費削減は、大きな負担なく比較的簡単に取り組むことができます。

趣味や楽しみをいきなり節約するのに抵抗がある人は、まず固定費から削減していくことをおすすめします。

弁護士に相談する

これまで説明した対処法を実践しても借金返済が厳しいようであれば、早急に弁護士などの専門家に相談しましょう。

任意整理を依頼した弁護士に相談すれば、これまでの任意整理に至った経緯なども把握してもらえているため、よりスムーズな対応が期待できるでしょう。

もちろん、費用面や、より債務整理に強い弁護士をリサーチして依頼するのも良いでしょう。

無料相談を受け付けている事務所も多いので、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。

また、任意整理後の返済がきついのであれば、他の債務整理を検討する必要も出てきます

任意整理以外の債務整理には、以下の2種類があります。

・個人再生

・自己破産

当事者間での交渉で完結する任意整理とは違って、どちらも裁判所を通しての手続きとなるため、多くの書類作成や裁判所に赴く必要があるなど個人で手続きを進めるには限界があります。

任意整理同様、専門的な知識を持った弁護士に依頼するのが一般的です。

個人再生か自己破産かは、その時の債務者の収入状況や財産などで変わってくるため、まずは弁護士に相談してみることをお勧めします。

まとめ

任意整理を無事に終えても、様々な事情で返済が困難になる人は多くいます。

返済を滞納したり督促を無視することによって、最悪の場合裁判所を通して差し押さえとなってしまう可能性も。

このような事態を回避するためにも、自分で対処ができないと感じた場合は、早急に弁護士などの専門家に相談し、再度状況に応じた債務整理を提案してもらうのもひとつの方法です。

自分はどのように対処するのが最適なのか、まずは弁護士事務所に行って相談してみましょう。