任意整理をするとどうなる?任意整理後の返済額について計算方法などを紹介

任意整理することによって、借金の返済が今より軽くなる可能性があることはご存知ですか?

債務整理の中でも比較的手続きがシンプルで、弁護士費用も抑えられる任意整理は、近年利用する人が増加傾向にあります。

しかし、

任意整理ってよく聞くけど、実際毎月の返済金額はどれくらい減るの?

と疑問を持っている人も少なくありません。

また、任意整理の基本的な仕組みについても把握できていないという人も多いでしょう。

この記事では、任意整理をすることによってなぜ借金が減るのか、任意整理後の返済額の計算方法、任意整理した場合としない場合の返済額の比較について詳しく解説していきます。

任意整理をすることによって、自身の借金がどれくらい減るのかぜひ参考にしてみてください。

任意整理で減額が可能な部分は?

任意整理とは、債権者と交渉し、将来利息や遅延損害金のカット、返済期限の延長などを行うことで、借金を減額し、返済しやすくする手続きです。

しかし、交渉がうまくいったとしても、自己破産や個人再生のように借金の全額もしくは一部がゼロになるというわけではありません

任意整理では、基本的に元金の減額はできず、一定の範囲でしか借金減額はできないのです。

では、どのようなものが減額の対象になるのでしょうか。

以下で詳しくみていきましょう。

将来利息

将来利息とは、債権者と和解成立後、完済時まで発生し続ける利息のことです。

通常、借金に対する利息は、完済まで負担し続けなければなりません。

しかし、任意整理で債権者と和解が成立すれば、将来利息の支払いが一部もしくは全額免除されます

将来利息をカットしてもらうことで、総返済額を減らせるため、結果的に毎月の返済負担も軽減されます。

遅延損害金

一般的に、借金返済を延滞すると「遅延損害金」が発生します。

遅延損害金とは、借金の支払いを滞納したときに発生するもので、支払期日の翌日から発生し、滞納分を返済するまで加算され続け、日割計算して請求されます

金融業社にもよりますが、多くの場合、借入時に契約した金利とは別に設定されており、法律で定められた上限金利である20.0%としている金融業者が多い傾向にあります。

任意整理することで、利息に加えて遅延損害金についてもカットされるため、その分が総返済額から減額されます。

経過利息

経過利息とは、任意整理の手続きを開始した後、合意までに発生する利息のこと。

本来なら、任意整理開始後、合意するまでの間も約定通りの経過利息が発生するはずですが、和解成立するとカットしてもらえるケースも。

ただし、債権者によっては通常通り経過利息を払うよう請求してくるケースもあるので、必ずカットしてもらえるとは限りません。

過払金

2010年以前に借入をしていた人は、過払い金が発生している可能性があります。

これは、2010年以前に利息制限法の制限利率を超過する高い利率で貸付が行われていたためです。

この払いすぎた利息を取り戻すのが「過払い金請求」です。

もし、過払金が発生していれば、本来元金の減額ができない任意整理でも、借金と過払金を相殺すことで借金が大幅に減る可能性も。

例えば、借金額100万円の場合、過払金が50万円発生していれば借金額は50万円まで減ることになります。

元本のみの返済

任意整理をすると、将来利息や経過利息、遅延損害金をカットしてもらえるため結果的に元金だけを返せば良い状態になります

加えて過払金が発生している場合は、元金からさらに過払金分が減額されます。

これまで、高額な利息や遅延損害金のためになかなか借金が減らないと悩んでいた人も、その返済が不要になることで、返済スピードも上がり毎月の負担も軽くなるでしょう。

任意整理後の返済額を計算する方法は?

任意整理をすると、総返済額が減った結果、月々の返済額を減らせて、毎月の生活が楽になるケースがあります。

では実際に任意整理した後、「総返済額」と「月々の返済額」はどのくらい減額されるのでしょうか。

以下では、任意整理後の返済額の計算方法について解説していきます。

返済期間で変わる

毎月の返済額は、支払期間を何回払いに設定するかにより、毎月の返済額は変わってきます。

通常、任意整理後の返済期間は3(36回)~5年(60回)の範囲で設定します

たとえば、返済額が100万円、3年(36回)で完済を目指す場合、毎月の返済額は33,300円程、支払期間を5年(60回)に設定すると、毎月の返済額は16,600円程にまで下がります。

任意整理を行えば、将来利息がカットされるので、返済期間を延ばしても総返済額は上がりません

できるだけ毎月の負担を抑えたいのなら、支払期間を長くしてもらうと良いでしょう。

ただし、元金が少なく、毎月の支払いが5,000円を下回る場合には、管理などの関係から回数が短くなることがあります。

生活再建という債務整理の趣旨を考えても、早めに完済する計画の方がよいでしょう。

任意整理した後の返済額を計算する方法

任意整理後、どれくらいの返済額になるのか知りたい場合は、まず自身の正確な借金額を調べてみましょう

その借金元本を36回で割ると、3年払いの場合の毎月の返済額を計算できます。

60回で割り算すると、5年払いの場合の毎月返済額がわかります。

計算例

借金額(元本)150万円

3年(36回払い)

150万円÷36回=41,666円(毎月の返済額)

5年(60回払い)

150万円÷60回=25,000円(毎月の返済額)

計算した金額が今の毎月の返済額より低ければ、任意整理によって返済額を減額するメリットはあるでしょう

逆に今とあまり変わらなければ、総返済額は減額されるものの、任意整理をしても毎月の借金額はあまり減らないということになります。

その場合、個人再生や自己破産などの他の債務整理を検討する必要が出てきます。

自身での判断が難しいのであれば、まずは弁護士などの専門家に相談してみましょう。

【返済額100万円】任意整理をする場合としない場合を比較!

任意整理をすると,返済総額や月々の返済額はどのくらい減るのでしょうか?

また、任意整理する、しないでは返済金額にどれほどの差があるのでしょうか。

今回は,借金額100万円で任意整理による効果をシミュレーションしてみましょう。

任意整理しない場合

借金総額100万円、金利15%、3年(36回)払いで返済する場合

借金額(元本)毎月の返済額利息総額返済総額
100万円3万4,665円24万7,940円124万7,940円

毎月の返済額は3万4,665円となりこのうち6,887円が利息に充てられます。

任意整理しない場合、5年間で25万の利息を支払うことになります。

任意整理する場合

続いて、任意整理をした場合についてみていきます。

任意整理で最もスタンダードな、3年(36回)4年(48回)5年(60回)の返済回数でシミュレーションしてみましょう。

借金総額100万円、3年(36回)払いで和解した場合

借金額(元本)毎月の返済額利息総額返済総額
100万円2万7,777円0円100万円

任意整理をしない場合と比べると、返済総額から利息分の24万7,940円が減額されたことによって、返済総額が元本の100万円となり、毎月の返済額も2万7,777円となっています。

返済期間は3年(36回)のままですが任意整理前に比べて、毎月の返済負担は軽くなる結果となっています。

借金総額100万円、4年(48回)払いで和解した場合

借金額(元本)毎月の返済額利息総額返済総額
100万円2万0,833円0円100万円

4年(48回)で和解した場合、任意整理前と比べると利息のカット、支払い期間が1年延長されたことによって、毎月の返済金額も7千円超減額されます。

任意整理では基本的に将来利息がカットとなるため、支払い期間が伸びてもその分利息が発生することはありません

よって、毎月の返済金額を出来るだけ抑えたい人は、長めの返済期間を設定することをおすすめします。

借金総額100万円、5年(60回)払いで和解した場合

借金額(元本)毎月の返済額利息総額返済総額
100万円1万6,666円0円100万円

5年(60回)で任意整理をすると、手続き前に比べて毎月の返済額は約18,000円も減ることになります。


任意整理前はさることながら、任意整理後の3年払い、4年払いの場合よりも、毎月の返済額が減り任意整理による効果が大きいことがわかります。

ただし、任意整理はあくまでも債権者と債務者間での交渉によるものであるため、こちらの和解案を全て受け入れてくれるとは限りません。

債権者との交渉力も重要になってくるため、弁護士など専門家に依頼する際は、債務整理に強い弁護士を選ぶようにしましょう。

まとめ

任意整理すると、状況によっては大きく借金を減額できます。

まずは、自身の借金額を正確に把握して、任意整理した場合の返済額を確認してみましょう。

毎月の返済が今よりも低くなれば、任意整理することで借金問題を解決できるかもしれません。

万一任意整理できなくても、それ以外の債務整理方法で解決できるのであきらめる必要はありません。

もっと具体的な内容が知りたい、任意整理以外の債務整理も検討したいという場合は、まずは一度、弁護士などのプロに相談してみましょう。