「毎月の借金返済がきつくてつらい。」
「もう少し返済額が抑えられたら生活が楽になるのに・・。」
このように、毎月の借金返済が、大きな負担となっている人は少なくありません。
一般的には、借金の返済額が月収の3割を超えたら返済がきつくなるとも言われています。
例えば月収20万円の場合は6万円がボーダーラインです。
様々な事情で返済が滞ってしまっていたり、毎月の返済が辛いと悩んでいる人には任意整理することでつらい借金問題から開放されるかもしれません。
この記事では、以下の4項目について詳しく解説していきます。
・任意整理後は月々の返済額が減るのか?
・任意整理後の返済額を具体的な金額でシミュレーション
・任意整理をしても毎月の返済が苦しい場合の解決策
・任意整理しない方がいいケース
毎月の借金返済で悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
任意整理後は月々の返済額が減る?
任意整理することで、借金の返済総額、月々の返済額を減らせる可能性があります。
では、なぜ任意整理で借金を減額することができるのか、その仕組みについて以下で解説していきます。
将来利息と遅延損害金などが減る?
将来利息とは現在残っている借金に対して、完済まで支払い続けていく予定の利息のこと。
すでに支払い続けてきた利息と同じもので、これから支払うことになる利息のことを指します。
また、遅延損害金とは借金の支払いを滞納したときに発生するもので、支払期日の翌日から発生し、滞納分を返済するまで加算され続け、日割計算して請求されます。
遅延損害金は、借入時に契約した金利とは別に設定されており、法律で定められた上限金利である20.0%としている金融業者が多い傾向にあります。
任意整理を行うことによって、この将来利息と遅延損害金を全額カットできる可能性があります。
任意整理後は、返済する借金は元金のみとなり結果的に総返済額が減り、毎月の返済金額も抑えられることになるのです。
最長5年の分割払が可能?
任意整理の返済期間は原則3年間(36回分割払い)ですが、場合によっては5年間(60回分割払い)まで可能です。
例えば、借金総額200万円の場合、もともと3年36回払い、毎月の返済額56,000円だったものが、5年60回の分割返済にすることで、月々の返済額は3万4000円程度に抑えることができます。
任意整理前は、「利息を支払いたくないから、少しでも早く完済しないと。」
と考えて、月々の返済が大きな負担になっていた人も、任意整理による利息カットと支払い期間の延長によって、ゆとりをもって返済できるようになります。
過払金の請求
2010年6月17日以前に借入をしていた人は、過払い金が発生している可能性があります。
これは、2010年以前に利息制限法の制限利率を超過する高い利率で貸付が行われていたためです。
制限利率を超過する利息は、本来払う必要のないもの。
この払いすぎた利息を取り戻すのが「過払い金請求」です。
もし、過払金が発生していれば、借金と過払金を相殺すことで借金が大幅に減る可能性もあります。
例えば借金額200万円の場合、過払金が150万円発生していれば借金額は50万円まで減ることになるのです。
また、借金より過払い金の方が多い場合には、借金を0円にしたうえで、払いすぎた分が返金されます。
元本だけ返済すれば良い?
任意整理をすると、将来利息や遅延損害金をカットしてもらえため借金の元本だけを返せば良い状態になります。
「高額な利息や遅延損害金で借金がなかなか減らない。」
と頭を抱えていた人にとって、任意整理はとてもありがたい救済措置と言えるでしょう。
任意整理すると月々の返済額はどうなる?
では実際に、債権者との和解が成立した後の毎月の返済額はどれくらい減るのでしょうか。
借金額が300万円の場合と500万円の場合で、任意整理せずに返済していくケースと任意整理したケースの月々の返済額をシミュレーションしていきます。
300万円を借金している場合
利息を15%、返済期間5年とした場合のシミュレーションは下記の通りです。
借金額 | 月々の返済額 | 利息 | 返済総額 | |
任意整理あり | 300万円 | 5万円 | 0円 | 300万円 |
任意整理なし | 300万円 | 7万1,000円 | 128万円 | 428万円 |
借金300万円を任意整理すること将来利息をカットできる可能性があり、任意整理後は元金である300万円の支払いのみとなります。
任意整理なしの利息については128万円とありますが、人によっては利息に加えて遅延損害金も加算されるため、支払い総額が増えることも考えられます。
任意整理を行うことによって、月々の返済額は7万1,000円から5万円に減り、約2万円の減額となります。
500万円を借金している場合
同じように、500万円の借金のケースをみていきましょう。
利息を15%、返済期間5年とした場合のシミュレーションは下記の通りです。
借金額 | 月々の返済額 | 利息 | 返済総額 | |
任意整理あり | 500万円 | 8万3,000円 | 0円 | 500万円 |
任意整理なし | 500万円 | 11万9,000円 | 214万円 | 714万円 |
借金額500万円を任意整理することで、将来利息の約214万円をカットできる可能性があり、任意整理後は元金500万円の支払いのみとなります。
このように、借金の元金が大きくなればなるほど任意整理による利息カットの効果は大きくなります。
任意整理によって、毎月の返済額は11万9,000円から8万3,000円に減り、3万6,000円の減額となるため、毎月の返済額が大幅に減額されることになります。
任意整理をしても月々の返済が厳しい場合
中には「債務整理しても生活が苦しい。」、「債務整理後に滞納状態にある。」という人もいるでしょう。
以下で、債務整理後も毎月の返済が厳しい場合の対処法について紹介していきます。
任意整理を改めてする
もし、任意整理後も返済が厳しいのであれば、改めて任意整理(再和解)を試してみましょう。
任意整理後は多くの場合、2回以上返済を滞納すると「期限の利益」がなくなり、一括請求を受けるという契約になっています。
そのため2か月分滞納することで、一括払いになり遅延損害金が発生するのです。
そこで、期限の利益喪失後、一括払いが難しいために分割払いに戻したいのであれば、改めて任意整理(再和解)をする必要があります。
ただし、一度和解が成立している債権者に対して、約束を破ってしまったうえでの交渉になるため、1度目と比較すると圧倒的に不利な状況と言えます。
再和解は、1度目の任意整理と同様の条件で和解ができるとは限らないため注意が必要です。
個人再生
個人再生とは、裁判所に申し立てをして、認可決定を受けることで多くの場合、借金を5分の1~10分の1程度に減額してもらう債務整理の方法です。
裁判所を通さずに当事者間での交渉をする任意整理と異なり、個人再生は裁判所を通した手続きのため法的強制力があり、債権者は再生計画が認可されれば従わざるを得ません。
この点が、個人再生と任意整理の大きな違いの一つと言えるでしょう。
また原則、利息のみカットとなる任意整理に対して、個人再生は借金額を5分の1〜10分の1程度と大きく減額することが可能です。
以下が個人再生をした場合のメリット、デメリットです。
・借金の元本を大幅に減らせる
・借金の理由に制限がない
・マイホーム、車などの財産を残せる
・借金がゼロにはならない
・任意整理に比べて手間と時間がかかる
・一定期間ブラックリストに登録される
・連帯保証人に迷惑がかかる
任意整理をしたものの、毎月の返済が厳しく返済の目処が立たない場合は、元金が大きく減額される個人再生の検討もする必要があるでしょう。
自己破産
自己破産とは、財産や収入状況から支払不能なことを裁判所に認めてもらい、原則として借金の支払義務が免除される手続です。
つまり、自己破産をすると借金がゼロになるということ。
金額の違いはあれど、債務整理後も借金を返済していく必要のある任意整理や個人再生とは異なり、自己破産後は支払いの義務はありません。
以下が自己破産をした場合のメリット、デメリットです。
・借金がゼロになる
・債権者からの取立てを止められる
・最低限の生活を送るための財産は残せる
・一定期間ブラックリストに登録される
・マイホームや車などが差し押さえられる
・官報に住所、氏名が掲載される
・一部の職業に就くのに制限がかかる
・連帯保証人に迷惑がかかる
自己破産をして借金がゼロになることで、借金の返済義務から解放されれば、借金の無い新たな人生を送ることができます。
とはいえ、自己破産した事実は公的にも私的にも残るため、その後の生活に影響を及ぼさないとも限りません。
自己破産はあくまでも最終手段であるということを念頭に置き、弁護士などの専門家に相談するなどして慎重に行うようにしましょう。
任意整理をしない方が良いケース
状況によっては任意整理が適さないケースもあります。
以下では、任意整理を選択しない方が良いケース、2パターンを紹介します。
返済能力が返済額を下回る
先述のとおり、任意整理は、利息をカットしたうえで、元金を3年〜5年かけて返済していきます。
もし、任意整理後の毎月の返済額が自身の返済能力を大きく上回る場合は、他の方法を検討すべきです。
また、任意整理の交渉では、債権者によっては長期分割に応じてくれないところもあります。
交渉を行っても和解額が毎月の返済能力の枠内に収まらない場合は、個人再生や自己破産を視野にいれて、方針を変更していく必要があるでしょう。
和解が成立すると、和解案に沿って定められた金額を3年〜5年かけて返済していかなければなりません。
弁護士に相談する段階で、自身の返済能力に見合った金額はいくらくらいなのか、長期にわたって返済が続けられる金額なのかをしっかり検討しておきましょう。
収入が安定せず滞納が予想できる
債権者との和解成立後は、取り決めに従って毎月決まった金額を返済していくことになります。
ほとんどの和解契約では、滞納が2回続くと、債権者から一括請求される契約となっています。
その場合、再和解は条件が厳しくなるほか、任意整理に要した費用も無駄になってしまいます。
安定した収入が3年以上見込めない場合は、任意整理ではなく、自己破産など他の債務整理を視野に入れる必要があるでしょう。
まとめ
任意整理をすれば、利息や遅延損害金のカット、返済期間の延長により、月々の返済額を減らせる可能性があります。
しかし、原則元金はカットされないため、借金が高額の場合は月々の返済額を払いきれない事態となることも十分予想できます。
自身の借金状況から、任意整理が実現可能かどうか考えてみましょう。
もし、任意整理での返済が難しい場合は、「個人再生」や「自己破産」など他の債務整理の方法も視野に入れて検討してみましょう。
まずは、債務整理に詳しい弁護士などの専門家に相談してみることをおすすめします。