「任意整理でどれくらい借金が減るんだろう。」
「毎月の返済がきついけど、大きく変わるのかな?」
借金を抱えている場合、毎月の返済が苦しく、完済の目処が立たないと悩んでいる人は少なくありません。
このような場合、任意整理が借金問題の解決に有効であるかもしれません。
任意整理は、債権者と和解が成立すれば、利息がカットされ返済額は元金のみとなり、加えて返済期間も延長出来るため、結果的に返済総額を減らすことが可能になります。
この記事では
任意整理の具体的な内容や、実際にどれくらい借金が減額されるのか知りたい。
という人に向けて、仕組みや返済シミュレーションを交えながら解説していきます。
これから任意整理を検討したいとお考えの人は、ぜひ参考にしてみてください。
任意整理で返済額を減らせる理由は?
任意整理をすることで、借金の返済総額、毎月の返済額を減らせる可能性があります。
では、なぜ任意整理で借金を減額することができるのか、その仕組みについて以下で解説していきます。
利息をカットできる
任意整理とは裁判所を通さずに債権者と直接交渉し、全ての利息をカットしてもらうことで返済額を減額する手続きです。
ただし、個人再生や自己破産のような裁判所で手続きする債務整理とは異なり、借金の元金が減額されることはありません。
例えば、借金額200万円、利息15%の3年払い(36回)で借り入れている場合、毎月の返済額は69,000円程。
毎月の返済額のうち約14,000円は、利息に充てられており3年間で支払う利息総額は約50万円となります。
ここで任意整理を行なった場合、全ての利息カットとなれば毎月の返済額は55,000円となり、その後の返済は元金のみとなるのです。
返済期間が延長される
返済期間が延長されることで、毎月の返済額が減額されるケースもあります。
任意整理では、借金元本を3年(36回)~5年(60回)の長期で分割返済が可能とされています。
具体的には、50万円を任意整理した場合、3年の36回払いだと、毎月約14,000円程度、5年60回だと毎月8,500円程度の支払いをすることになります。
ただし、毎月の支払いが5,000円を下回る場合は、返済期間の延長の選択は難しい傾向にあります。
利息が全額カットされたうえでの返済期間延長は、毎月の返済負担も大幅に削減されることから、債務者にとって大きなメリットであると言えるでしょう。
任意整理で返済額が減る仕組みは?
では、任意整理はどのような仕組みで返済額が減るのでしょうか。
任意整理によって借金が減額される大きな特徴は以下の4つです。
・将来利息
・遅延損害金と合意後の利息
・経過利息
・過払い金の元金
以下でひとつずつ見ていきましょう。
将来利息
任意整理では、主に「将来利息」をカットするべく債権者と和解交渉を進めます。
将来利息とは、現時点で残っている借金に対して発生し、完済するまで支払い続ける予定の利息のこと。
任意整理をすることによってこの将来利息が全額カットもしくは大幅減額されるのです。
和解成立後は、和解案で提示された元金を決められた返済期間で返済していくことになります。
ここで、
「債権者にとって利息は大切な利益だよね?なぜ、債権者は任意整理で将来の利息カットの交渉に応じるの?」
と疑問を持つ人も多いかもしれません。
債権者にとって一番避けたい事態は「借金を踏み倒される」「自己破産、個人再生で免責される」など、債務者から一切返済してもらえなくなる状況です。
要するに、「借金を一切返してもらえなくなるよりは、利息の全額カットといった多少の譲歩をしてでも元金を返済をしてもらう方がよい」と考える債権者が多いという事情にあります。
しかし、任意整理は法的な強制力はなく、あくまでも当事者間での話し合いで和解を目指す手続きです。
つまり、話し合いに応じるか応じないかは債権者の自由というわけです。
任意整理を行なっても、必ず将来利息がカットされるわけではないことを覚えておきましょう。
遅延損害金と合意後の利息
任意整理を行い債権者と和解すると、多くの場合、合意後の利息は発生しません。
また合意後、きちんと返済していれば、遅延損害金も発生しません。
遅延損害金とは、返済期日までに借金を返済できなかったとき、債務者が債権者に払わなくてはいけない賠償金のこと。
しかし、万が一和解成立後に返済が滞るようであれば、返済期日の翌日から遅延損害金が加算されていきます。
返済が遅れそうな場合は必ず事前に債権者に連絡し、いつまでに返済できるのかなど説明するようにしましょう。
経過利息
経過利息とは、任意整理の手続き開始後、合意時までに発生する利息です。
任意整理の手続きを開始しても、すぐに合意できるわけではなく、通常3か月~8か月くらいかかるのが一般的です。
任意整理の交渉期間中も借金の利息が発生し続けるわけですが、これが経過利息となります。
しかし、任意整理をすることで、経過利息の支払いも免除できるケースも。
ただし、債権者にとって利息は重要な収入源のため、任意整理を行なったとしても経過利息を通常通り請求される可能性も大いにあります。
将来利息にも言えることですが、任意整理をしたからといって必ず全ての利息がカットになるわけではないということを覚えておきましょう。
また弁護士や司法書士に依頼せず自分で手続きをすると、債権者から相手にされないこともよくあります。
任意整理は、債務整理の中でも比較的簡単な手続きだと言われていますが、やはり経験豊かな専門家に依頼することをおすすめします。
過払い金の元金
過払金が発生している場合、借金が大幅減額されることもあります。
過払金利息とは、法律の上限を超えた利息のことで、過去に返済した利息のうち「払いすぎた利息」のことです。
一般的に、2006年頃までに債権者(消費者金融、クレジットカードのキャッシング、カードローンなど)と取引をしていた場合、過払金が発生している可能性があります。
もし過払金が発生していた場合は、借金と相殺されるため結果的に借金額が減額されることになります。
たとえば借金が100万円残っていても、過払い金が50万円発生していれば残金は50万円となります。
元金より過払い金の方が多ければ、払いすぎとなるので過払い金が返還される仕組みです。
任意整理では基本的に利息のみのカットであり、元金の減額はされませんが、過払い金が発生している場合は元金も減額されると理解しておきましょう。
任意整理をするとどれくらい減る?
任意整理を行うことによって、どれくらい借金を減らすことができるのでしょうか。
100万円、200万円それぞれのケースで解説していきます。
借金が100万円の場合
100万円の借金(年利15%・3年払い)を返済期間5年で任意整理した場合
元々の借金返済額 | 任意整理後の借金返済額 | |
総返済額 | 1,247,940円 | 100万円 |
毎月の返済額 | 34,665円 | 16,667円 |
100万円の場合、発生している利息の約25万円をカットできる可能性があります。
遅延損害金が発生しているケースや、過払金があるケースでは、任意整理によってカットできる金額がさらに増える可能性もあるでしょう。
また、上の表からも分かるとおり、任意整理後は元本100万円のみを支払っていくことになるため、月々16,667円を5年間支払えば完済が目指せます。
借金が200万円の場合
200万円の借金(年利15%・4年払い)を返済期間5年で任意整理した場合
元々の借金返済額 | 任意整理後の借金返済額 | |
総返済額 | 2,671,728円 | 200万円 |
毎月の返済額 | 55,661円 | 33,300円 |
借金200万円の場合は、利息約67万円、毎月の返済額55,661円と大きく、家計の状況によっては自力での完済が難しく感じる人も多いのではないでしょうか。
任意整理することによって、利息がカットされ、返済期間も猶予されることから毎月の返済も軽減されます。
もっとも、借金の総額が多ければ多いほど任意整理による経済的なメリットは大きいといえるでしょう。
まとめ
任意整理を行うことによって、返済額がどれくらい減るのかは、借金の総額や利息の割合、債権者の対応などによって異なります。
一般的には、任意整理は借金総額の3~5割程度が減額されると言われています。
また、任意整理で減額の対象となるのは将来利息、遅延損害金、経過利息です。
さらに過払い金があれば、その分の元金が減額になります。
任意整理は、債務整理の中でも減額率が低い手続きと感じる人も多いかもしれません。
しかし、裁判所を通さないため負担が少ない、費用が安い、整理する借金を選べるなどといったメリットも多く、収入が少ないく不安定でな人でも比較的簡単に手続きを進められます。
借金問題で苦しんでいる人は、一度弁護士などの専門家に相談してみることをおすすめします。